「県は国交省と積極協議を」決議 長崎新幹線めぐり議会

福井万穂 松岡大将
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 佐賀県議会は30日、九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)をめぐり、国土交通省と積極的に協議するよう県に求める決議案を賛成多数で可決し、閉会した。当初は国交省が提案する「五つの整備方式に対応できる環境影響評価(アセスメント)」を拒否する県に再考を求める目的だったが、そのことは文面では触れられなかった。

 決議は、新鳥栖―武雄温泉の整備方式をめぐり「議論に必要な数字や条件が不足している」と指摘。幅広く議論できるよう「環境影響評価の実施をはじめ様々な可能性を想定しながら」国交省と協議を積極的に進めるよう要請する。

 出席した35人中、自民や公明のほか、県民ネットワークの一部県議ら31人が賛成した。

 国交省は6月、整備着工に先立つアセスを進めようと、県が過去に合意したフリーゲージトレインやリレー方式など「五つの整備方式全てに対応できるアセス」の実施を県に提案した。

 ただ、法令上アセスが必要なのはフル規格とミニ新幹線だけで、リレー方式はそもそも追加の整備がない。県は「実質的にフル規格のためのアセスだ」と拒否してきた。

 国交省は7月末の回答期限をその後、9月末まで延長したとしていた。県議会最大会派の自民党内では、フル規格推進派の議員から「期限までに国のアセス案を受け入れるよう、県に求めたい」との声があり、決議を検討していた。

 ただ会派内でも、フル規格やアセス案への賛否は分かれており、議論は紛糾した。「オブラートに包んだ感じ」(中倉政義・党県議団会長)で意見の一致を図った結果、国交省のアセス案自体に触れない文面でまとまった。反対派の一人は「回答の期限を入れなかったのが妥結点」と話す。

 決議案に反対した武藤明美県議(共産)は、反対討論で「わざわざ決議としてあげなくてはならない内容でなかった」と批判。徳光清孝県議(県民ネット)は取材に対し「決議には意味がなく、政治的パフォーマンスに思える」と話した。

 議会終了後、山口祥義知事は報道陣の取材に「『積極的に』と書いてありますから、積極的に協議をしていくと思う」。10月中旬にも、国交省と3回目の協議を行うと明らかにした。

 国交省のアセス案については「飛び乗ることはしない。最初からお断りをし、期限だけが延びるという形になっているが、我々の考え方は変わりない」と述べた。(福井万穂、松岡大将)

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