劣化進む旧国鉄士幌線の「幻の橋」 いよいよ見納めか

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中沢滋人
【動画】劣化進む「幻の橋」=中沢滋人撮影
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 ダム湖の水位変化で見え隠れするため「幻の橋」と呼ばれる北海道上士幌町の旧国鉄士幌線「タウシュベツ川橋梁(きょうりょう)」で、今年に入って新たに2カ所で大きな崩落が確認された。「11連のアーチが見られる姿も今年が最後」とささやかれて久しいが、特に最近、目に見えて進む劣化に、関係者たちは心配しながらも、「崩落を止めることはできない」と静かに見守っている。

 9月8日早朝、NPO法人「ひがし大雪自然ガイドセンター」の見学ツアーに参加した。ワゴン車で糠平湖のほとりまで送ってもらい、水の引いた「湖底」を歩くことしばし、古代ローマ遺跡のようなタウシュベツ川橋梁が見えてきた。全長約130メートル、高さ約10メートル。裏側に回ると、3カ所の橋脚上部がV字状に大きく崩れ、下に内部の石が散乱している。あちらこちらで鉄骨がむき出しになり、表面のコンクリートもガサガサで、亀裂が何本も入っていた。

今年に入って目立つ崩壊

 奈良県からきた大学生・森脇賢澄(まさずみ)さん(22)は、「この状況を見ると、確かにいつ崩れるかわからないと感じる。けれど、この姿が今だけだと思うと感慨深い。時の流れを感じます」。北海道旅行の途中、今しか見られない景色だとSNSで知り、ツアーに参加したという。横浜市から来たツーリング途中の会社員男性(26)も「貴重な遺産を見られてよかった。崩れていく姿に心くすぐられるものがあった」と話した。

 タウシュベツ川橋梁は、大雪…

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