令和初の除夜の鐘、鳴らせず…名古屋駅の寺、リニアの波

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田中恭太
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 忘年会に向かう人々でにぎわう名古屋駅東側。よく見ると、ビルの解体工事があちこちで始まっている。現場の看板には「東海旅客鉄道株式会社」。看板をたどると、地下約30メートルにできるリニア中央新幹線名古屋駅の輪郭が見えてくる。リニア着工から12月で5年が経った。名古屋の新駅工事に必要な用地取得の契約は12月上旬現在、名古屋駅の東側で7割、西側で8割を超えたという。

 地上34階建ての大名古屋ビルヂングから60メートルほどのところに、真宗大谷派の称名寺が静かにたたずんでいる。リニア工事の影響で今年、玄関口でもある鐘楼門が90度回転し、少しだけ本堂側に移動した。

 大正時代から続く除夜の鐘を今年は中止にした。関連の工事が終わっておらず、来訪者の足元の安全が確保できないためだ。住職の杉浦道雄さん(44)は「鳴らさないと年が越せない、という人もいるので申し訳ない気持ちですね」。

 寺の歴史は江戸時代にさかのぼる。明治期に刈谷市から名古屋市内に移転、大正期に今の場所に本堂と鐘楼門が建った。名古屋大空襲では敷地に焼夷(しょうい)弾が落ちたが、不発弾で焼失を免れた。

 「寺が一つ、神社が一つ引っかかるらしい」

 リニア工事をめぐって杉浦さ…

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