横浜の敬老パス、値上げ提言へ 今は年4千円で乗り放題

吉野慶祐
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 70歳以上の市民が一定額を支払うと、バスや市営地下鉄に乗り放題になる横浜市敬老パス制度をめぐり、見直しを検討してきた市の専門分科会は、パスの値上げやICカード化を提言する方針だ。来週にも林文子市長に答申する。

 分科会は18日夜、答申前の最後の会合を開いた。この場で答申案が示され、75歳以上へ引き上げる意見も出ていたパスの交付年齢については、利用者の多くが現状維持を望んでいるなどとして「70歳以上を維持する」とした。高所得者を対象外とする案については、高齢者の社会参加の支援という目的に照らすと「適当ではない」とした。

 各委員は、減便や路線廃止を防ぐためバス事業者の過大な負担を軽減する▽値上げはせざるを得ない▽正確な利用実態を把握するためIC化を急ぐ、の3点で一致。分科会はこうした点を答申に盛り込む。

 市は来年の市議会2月定例会で答申を報告する。早ければ6月定例会で値上げ幅やIC化の方向性について案を示し、議会の同意を得た上で2021年度からの新制度開始を目指す。

 横浜市の敬老パス制度は1974年に始まった。当時7万人だった利用者は、昨年度は40万4千人。多くが年4千円以下の負担でパスを入手している。

 市は利用者がバスに月15回乗る想定で事業者に助成金を支払ってきたが、市の調査で、実際は月25回ほど乗っていることが判明。分科会では、乗車実績に見合う助成金を受け取っていないとして、バス事業者が苦境を訴えてきた。市が払う助成金は今年度約99億円だが、市の試算によれば、仮に乗車回数を月25回とすると、21年度には約186億円に激増する。こうした事情から、分科会では利用者の負担増などが議論されてきた。(吉野慶祐)

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