台風19号の豪雨は、東日本各地の鉄道路線にも大きな被害をもたらした。長野や岩手などのローカル線では全面復旧のめどが立たず、市民生活にも影響が出ている。
台風19号の影響で、岩手県沿岸を走る三陸鉄道リアス線は一部区間が不通となっている。東日本大震災からの復興のシンボルとして、この春に8年ぶりに全線開業したばかり。半年余りで再び寸断され、再開のめどは立っていない。
三鉄によると23日現在、不通となっているのは全線163キロのうち7割に当たる113・7キロ。盛り土が濁流に流されたり、レールと枕木だけになったりするなど、63カ所が被災した。
三鉄で沿岸を回ろうと山形市から友人と宮古駅を訪れた木村亮子さん(64)は「釜石までの美しい風景を楽しみにしていた。また被災してしまうとは」と残念がった。
不通区間は代行バスによる運行が続いている。宮古高校1年の内藤蓮さん(15)は放送部の大会に向け大切な時期。「最終バスに間に合わなかったら、と不安で1本前に乗っている。早く復旧してほしい」
ラグビー・ワールドカップの試合が釜石市で開かれるなど利用者も増え、今年度は約3千万円の黒字と見通していたが、復旧費の確保や団体客のキャンセルもあり厳しい状況となった。中村一郎社長は「遅くとも年度内には全線復旧させたい。通学など優先度が高い区間から一日も早く復旧させていきたい」と話す。
福島県と宮城県を結ぶ第三セクターの阿武隈急行(本社・福島県伊達市)は、宮城県内を中心に運休が続き、全線復旧の見通しは立っていない。線路付近での土砂崩れなどの被害が42カ所あり、被害額は東日本大震災の4億3千万円を超える見通し。阿武急の年間の鉄道収入は6億8千万円規模で、深刻な被害となっている。
特に宮城県丸森町周辺の被害…
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