毎週木曜日だけの無料の駄菓子屋 1人1個で広がる輪

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宮城奈々
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 「おかし1コあげる」。滋賀県湖南市のJR草津線甲西駅近くで毎週木曜日、無料の駄菓子屋が店を出している。普段は静かな夕方の駅前に、ちょっとしたにぎわいと交流が生まれている。

 甲西駅前にあるコワーキング(共働)スペース「今プラス」。ある木曜日の午後4時半、若い男性が手作りの小さな屋台を引っ張り出してきた。

 幅1メートルほどのテーブルに、びんに入った当たり付きのあめやガムなど昔ながらの駄菓子がずらりと載せられた。

 しばらくすると屋台の周りに子どもたちが集まってきた。好きな駄菓子を一つ選ぶと、うれしそうな顔で駄菓子を手に帰って行った。

 店の名前は「ダ☆ガシ@湖南」。店主は長砂伸也さん(30)。普段は学習室の経営などをしている。昨年1月に京都市から湖南市に移住し、市の地域おこし協力隊になった。週に2日ほど今プラスで仕事をしているが、窓の外の景色が気になっていた。「市役所も近くにあり、市の顔とも言える駅なのに……」。駅はいつも閑散としていた。

 地域おこし協力隊としてもっと湖南市のことを知りたいのに、地元の人と気軽に話す難しさも感じていた。そんな時、ふと思いついた。「自分で人が集まる場所を作れば、地元の人から交流しに来てくれるのではないか」。今プラスのオーナー中野龍馬さん(32)に出店を相談すると、「面白いからやってみて」と背中を押された。

 店を出せるのは、今プラス内のわずかなスペースしかない。食中毒のリスクが低く低価格なものは何かと考え、駄菓子が頭に浮かんだ。市内の店で1千円分の駄菓子を「大人買い」して仕入れ、昨年4月に始めた。

 店に興味を持ってもらうきっかけにしようと、駄菓子は一人1個限りで無料にしている。2個以上は配らない。雨の日は休業。小中学生は一度帰宅していることをルールにした。

 「ほんまにタダなん?」「な…

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