宝塚線事故から12年 遺族が献花「事故風化させない」

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 乗客106人と運転士が亡くなり、562人が負傷したJR宝塚線(福知山線)脱線事故は25日、発生から12年がたった。遺族らは兵庫県尼崎市の現場に献花に訪れ、静かに手を合わせた。

 事故発生時刻に合わせ、電車が追悼の警笛を鳴らしながら現場を通過すると、集まった遺族やJR西日本の社員らが頭を下げた。JR西は、電車が衝突したマンションの上層部を取り壊し、階段状に保存する工事を進めている。来年夏ごろまでに周辺を広場として整備する方針。

 現場では、2両目に乗っていて一時意識不明の重体となった会社員の松丸直也さん(39)=大阪市西区=が、妻(38)と子ども2人とともに献花した。長女は昨年5月に生まれたばかり。「改めて命の大切さを実感した。事故を風化させず、子どもたちに伝えていかなければと思った」

 近くのホールでは、JR西主催の追悼慰霊式があり、遺族や負傷者ら約900人が黙禱(もくとう)を捧げた。同社の来島達夫社長は「皆様が歩み続けられたはずの12年という道のり、何ものにも代えがたい大切なものを奪い去ってしまった。ただただ、おわびを申し上げるしかない」と改めて謝罪した。整備が進む現場については「私どもが安全を誓い続ける場として長く大切にお守りしていく」と述べた。

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