第4種踏切は「廃止望ましい」 運安委、9歳死亡の列車事故で報告書

増山祐史
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 群馬県高崎市の上信電鉄の踏切で昨年4月、近くに住む小学4年生の女児(9)が列車にはねられ死亡した事故で、国の運輸安全委員会は27日、事故原因などをまとめた調査報告書を公表した。事故現場となった警報機や遮断機のない「第4種踏切」について、「安全性向上のためには廃止するのが望ましい」と指摘した。

 事故は昨年4月6日朝、同市吉井町の「天水踏切」で発生。犬の散歩をしていた女児が犬を追いかけて踏切に進入した際、列車にはねられ死亡した。運転士は女児が踏切に近づいてくるのを見て、踏切の約50メートル前から警笛を鳴らしたと説明。一方、現場そばにいた女児の親族は警笛を聞いておらず、報告書では警笛の有無について「明らかにすることはできなかった」としている。

 報告書では、第4種踏切について「廃止するのが望ましい」とし、廃止できない場合は、警報機と遮断機がついた「第1種踏切」に替えるべきだと指摘。改良までの間も、注意喚起の看板の設置などの安全対策を求めた。同社の路線では事故時に第4種踏切が45カ所あり、「同社及び沿線自治体は、早期に廃止または第1種化に向けた協議を行うことが必要」としている。

 上信電鉄は、事故現場の踏切を含めた高崎市内の4カ所の第4種踏切について、2025年度から第1種にする予定で作業しているという。

 第4種踏切は人通りや列車の本数が少ない地方に多く、国土交通省によると、24年3月末時点で全国に2367カ所(踏切全体の約7%)あるという。近年は減少傾向にあるが、たびたび死亡事故が起きており、同省は鉄道事業者に対して第4種踏切を減らすよう働きかけている。改良費用の最大で半額を国で負担するほか、手動遮断機の設置費用の補助も25年度から始める。

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この記事を書いた人
増山祐史
東京社会部|国土交通省担当
専門・関心分野
運輸行政、事件事故、独占禁止法、スポーツ