
豪雨被害によって2022年8月から区間運休が続くJR米坂線について、JR東日本は26日、新たに復旧後の運営方式として第三セクターで運営する場合と、バスに転換して運営する場合の費用試算を示しました。これを受け、県は改めて「鉄道での復旧が第一」との立場を示しました。
JR米坂線は2022年8月の豪雨で橋が崩落するなどの被害が発生し、長井市の今泉駅と新潟県村上市の坂町駅の間で区間運休が続いています。
山形・新潟両県はJRが主体となっての復旧・運営を求めていますが、JRは一貫して復旧後のJR単独での運営は難しいとの考えを示しています。
JR東日本新潟支社羽中田淳企画総務部長「さまざまな観点からご意見をいただき、建設的な議論をしていきたい」
新潟県関川村でJRや沿線自治体などによる5回目の復旧検討会議が開かれました。会議ではJR側から新たに、復旧後の運営方式として第3セクターなどの地域鉄道が運営する場合と鉄道ではなく、バスでの運行を行う場合の現在運休している区間にかかる費用の試算が示されました。
試算によりますと、第3セクターなどの地域鉄道が運営する場合は、1年間でおよそ5億円から19億円の費用がかかる見込みです。一方、バスに転換して運営する場合は、年間でおよそ1億5000万円から2億円ほどがかかる試算となりました。
JR東日本は、今回の試算は前提となる条件などを山形・新潟両県と相談して算出したとした上で「あくまで今回の試算は地域負担の規模感を示す目安で、実際に運営する事業者次第で変わるため、この試算をもとに運営が可能とするものではない」と強調しています。JR側はこうしたデータを参考にしながら、米坂線のあり方について議論を進めていきたいとしています。
JR東日本新潟支社 羽中田淳企画総務部長「ことし8月には被災から丸三年となってきますので、少しでも議論を進めるべく、両県の方々と相談しながら、基本となるベースをお示しすることが議論を進める1歩になるかなということで、今回試算を出した次第」
一方で、県はJR側が示したバス転換などの試算を受け、改めて「鉄道での復旧を第一に考える」との立場を強調しました。一方で、4月以降、JR単独での復旧・運営の方式以外の案についても、関係する自治体と検討を進めていくとしています。