
JR西日本(大阪市)は26日、長谷川一明社長(67)が代表権のある会長となり、倉坂昇治副社長(62)が社長に昇格する人事を発表した。6月に開く株主総会と取締役会を経て就任する予定。
長谷川氏は2019年12月に社長就任。直後の20年から新型コロナウイルス禍で鉄道事業などが低迷し、経営が危機に陥る中、構造改革を進めて回復軌道に乗せた。三ノ宮駅ビルの建て替えを大阪、広島両駅ビルの再開発とともに「三大プロジェクト」と位置づけ、24年春には起工式にこぎ着けた。長谷川氏は記者会見で「コロナ禍からの回復が確信でき、新しい経営計画を作る重要な局面で社長交代を決心した」と語った。
倉坂氏は1985年、旧国鉄に入社し、JR西の執行役員人事部長や大阪支社長などを歴任。16年から3年間、05年に起きた尼崎脱線事故の遺族や負傷者などの対応に当たる「福知山線列車事故ご被害者対応本部」の本部長を務めた。
本部長時代には、事故現場に追悼施設「祈りの杜」を整備し、追悼慰霊式の会場とした。今年4月25日で事故から20年となるのに当たり、倉坂氏は「事故は安全構築の原点。風化させてはいけないし、安全性向上に取り組み続けることが大切」と強調。遺族や負傷者に対しては「真摯な対応を続けていく」と述べた。
また、コロナ禍の教訓を基に「グループの事業構造を強くし、持続的な発展が果たせる企業グループとなるべく挑戦したい」と述べた。(大島光貴) 【倉坂 昇治氏】(くらさか・しょうじ)京大法卒。85年旧国鉄。JR西日本執行役員人事部長などを経て、18年取締役。21年副社長。三重県出身。