敦賀以西「小浜」の懸念、払拭遠く 地元首長「新しい話ない」 国交省、鉄道機構 京都で自治体向け説明会

敦賀以西の整備に向け、国が京都府で開いた地元自治体向けの説明会=京都市内

 北陸新幹線敦賀以西の延伸を巡り、京都府内で25日、国土交通省と鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)による小浜ルートの説明会が開かれ、出席した地元自治体の首長らからは「新しい話が全くなかった」と不満の声が聞かれた。工事に伴う地下水への影響などが心配される中、着工へ府民の理解を得たい考えだが、府の担当者は「まだまだ不安が解消されたとは言えない」と指摘。住民向けの説明会を開催するよう求める意見もあり、懸念の払拭が容易でない現状をあらためて浮き彫りにした。

 「期待したが、新しいことは何も出なかった。まだまだ判断材料がそろっていない」。南丹市の西村良平市長は説明会後、記者団の取材に対し、不服そうに話した。

 説明会には京都府と府内23市町村から職員ら41人が出席。鉄道・運輸機構は地下水への影響について、京都市を通る地下トンネルは構造上、地下水の質に影響を与えず、水位低下は予測されていないと強調した。

 酒造りが盛んな同市南部では、地下水の流れの下流側を通り、影響がないように考慮したと説明。工事車両による交通渋滞の懸念に対しては、資材運搬などに使うルートを分散させる対応を講じるとした。

 引き続き非公開で質疑応答が行われた。国交省や機構によると、石川県内で見直しを求める声が強い米原ルートも話題となった。同ルートに関して国交省は、調査を最初から始めることで4、5年の時間が必要になるとし、「必ずしも小浜より米原の方が(完成が)早いわけではない」とした。

 説明会終了後には、質疑応答が非公開となったことについて、複数の記者が国交省や機構側に「これでは府民の理解を得られない」と詰め寄る場面も。同省の担当者は「非公開は自治体の意向」として理解を求めた。

 説明会の会場前では市民団体が横断幕を広げ、建設反対を訴えた。同団体は説明会前、国交省に対して住民向けの説明会も開催するよう申し入れた。

 国側は今後も京都での説明を続ける考えで、京都南部に位置する久御山町の信貴康孝町長は報道陣の取材に「今日がスタートなので、これから詳しい質問をしていきたい」と話した。

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