
名鉄百貨店(本社名古屋市)は、名古屋駅地区のビル内で営業する本店(名古屋市中村区名駅1)の閉店後も、一部の事業を名古屋鉄道グループで継続する。親会社の名鉄などによる再開発計画で、百貨店などが入る名古屋駅前のビルは解体される予定。百貨店の本店は2026年春ごろに営業終了見込みだが、外商事業は名鉄生活創研(本社名古屋市)へ、建装事業は名鉄協商(本社名古屋市)にそれぞれ移管する見通し。顧客とのつながりを絶やさないために、本店の営業終了後、すぐに事業移管を行う方向だ。
名鉄百貨店では、名古屋駅地区の本店での販売のほか、外商事業や、事務所の内装などを行う建装事業を手掛けている。外商、建装部門の従業員数は合計約50人。リサーチから企画提案、制作、納品、アフターケアまで一貫して担っており、「お客さまと常に向き合う」をモットーとし、顧客からのニーズに柔軟かつ丁寧に対応している。
外商部門では、企業イメージを高めるユニホームのトータルコーディネートを行っているほか、企業の記念品や販売促進用のノベルティグッズを提案している。百貨店ならではの高級感あふれる商品について、話題やストーリー、デザインなどの要素を検討し、厳選した商品やサービスの提供に努めている。
外商部門の移管先の名鉄生活創研は、名鉄グループで小売り事業を手掛ける。ギフトショップ「名鉄商店」では、期間限定で店舗全体をギャラリーに変更し、アート作品などの展示販売も行っている。過去に開いたアート作品の展示販売会の動きは堅調で、富裕層向けのビジネスで知見を積み重ねている。名鉄百貨店からの外商部門の事業移管を踏まえ、もう一段の成長を狙う。
名鉄百貨店の建装部門では、ホテルや空港ラウンジ、商業施設の企画、設計、施工の提案から、快適なオフィスレイアウトや家具などのリニューアルについて、一級建築士事務所の創造力を生かした提案を行っている。羽田空港内のラウンジの内装工事や、トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の販売店の改装工事などで実績がある。
事業移管予定先の名鉄協商では、商社ならではの総合力を生かし、建設を企画する前段階から、着工、完成後の維持管理まで、包括的なサポートを提供している。一級建築士による空間デザイン、パーキングシステムの導入など、さまざまなニーズに高水準の品質で対応している。名鉄百貨店からの事業移管を踏まえ、建築・内装・インテリア部門の拡大に弾みをつけたい考えだ。