
JR山陰線の鳥取ー倉吉間10の駅に15日、自動改札機が導入されました。職員が改札に立ち、切符や定期を確認する昔ながらの風景も見納めとなりました。鳥取駅で最後の1日を取材しました。
JR鳥取駅では15日、自動改札機の利用開始を祝うセレモニーが行われました。自動改札機の導入は、JR西日本エリア内の県庁所在地の中心駅としては鳥取駅が最後です。新たに山陰本線鳥取-倉吉間10の駅で、ICカード乗車券が使えるようになりました。
利用者:
便利になってうれしいですね。
利用者:
すいすい通れました。
利用者:
ICでタッチが簡単でいいなと思いました。早くささっと出来ますし。
便利になった一方、見られなくなったのが…職員が改札口に立ち、乗車券や定期券を確認する風景です。14日は、「有人改札」最後の日です。通勤、通学ラッシュの時間帯…職員が切符を受け取り定期券を確認しながら、乗客1人1人に会釈し、「ありがとうございます」などと声をかけます。職員が立つ改札ならではの風景です。
利用客:
見送ってくれる人がいるのがうれしいなと思いました。(有人改札がなくなるのは)ちょっと悲しいです。
利用客:
「おはようございます」であったりとか、声かけていただけることはすごくいいなと思っていました。
鳥取駅は、1907年に開業。1978年に高架化され、現在の駅舎が完成して以来、改札口はずっとこの場所です。1日約9000人が利用する鳥取駅では、改札口での業務も多岐にわたります。
「みなさまおはようございます。きょうもご利用いただきましてまことにありがとうございます」
「8時ちょうど発車の因美線・津ノ井郡家用瀬方面智頭行き普通列車、一番乗り場からまもなく発車いたします」
列車が近づくと、改札に立ちながらアナウンス。
「ありがとうございます」
改札に入る乗客の乗車券の確認に使うのが「チケッター」と呼ばれるスタンプ。職員は約30分おきに交代。チケッターを手渡して業務を引き継ぎます。
「お願いします異常なし?」
「異常なしです」
利用客:
すいません、時刻表はどこにありますか?
職員:
時刻表はそこにあります。
利用客からのさまざまな問い合わせにも対応します。
JR鳥取駅・小川修司駅長:
この鳥取駅が初任地だったんですけど、そこからずっと有人改札できょう本当に最後の一日を迎えるんだなというところで、感慨深い気持ちになっています。
名残りを惜しむのは、小川修司駅長。1999年に入社し、最初に配属されたのがここ鳥取駅。約1年半、改札にも立ったということです。
JR鳥取駅・小川修司駅長:
当時は新人でしたので、お客様に元気にご挨拶をさせていただいて、お客さまから「おはよう」とか返していただくと本当にうれしくて。受験の時には合格しましたみたいな話も頂けると、本当に良かったなと思っていました。温かみというか、そういうところが非常によかったかなと思います。
有人改札が最後となったこの日、去り行く風景を記憶に刻もうと大勢の市民や鉄道ファンが訪れていました。
利用客:
きょうが最後なので、人の声がしたりとか、そういう関わりが少なくなるのは寂しい面もある。きょうは記念に…良い思い出になりました。
鉄道ファン:
見慣れた光景が無くなってしまうのがさみしいので、見納めに来まして、最後は判だけ押してもらおうとスタンプを押してもらって…もう永久保存ですね…。
鉄道ファン:
とても寂しくて(写真見せながら)これが工事が始まる前、これが自動改札が導入される前、記録してきました。
日付が変わる直前の午後11時40分ごろ、最後の乗客が改札を通過。有人改札「最後の1日」が終わりました。鳥取駅で100年以上にわたって続いた改札に職員がいる風景。利便性の向上と引き換えに、昔ながらの風景がまたひとつ消えることになりました。