小湊鉄道、法定協議会への移行を辞退 財政支援巡る準備会議は終了
鉄道事業の赤字が続く小湊鉄道(千葉県市原市)への支援を目指す法定協議会の設置準備調整会議(座長=藤井敬宏・日大特任教授)は28日、同社から辞退の申し出を受け、法定協議会への移行を取りやめることを決めた。準備調整会議も同日で終了することになった。
準備調整会議は、同社から財政支援の要請を受け、市原市が2023年7月に設置した。
会議は非公開で、この日は5回目の会合。列車の運行を同社が担い、線路などの鉄道インフラや土地を行政側が保有する「完全上下分離」方式など3パターンの支援について、10年間で約8億~20億円程度赤字が縮小する一方で、行政負担額は約12億~21億円増加するといった試算が示された。
会議では「抜本的な経営改善が図られない限り、経常的な赤字の解消は見込めず、行政負担が数十億円規模で増加する」などの課題が指摘された。
これに対し、同社は、法定協議会への移行の辞退を申し出た。国の社会資本整備総合交付金を活用した支援を行っても、赤字が解消されないうえ、経営の自由度が制限されることへの懸念があったとみられる。
同社からは「減便やワンマン化など合理化とともに観光需要の拡大を目指し、鉄道の維持に努めたい」といった趣旨の説明があったという。市は事業補助といった従来通りの支援を続ける方針。