中断続くリニア工事、JR東海が直面する湧水対策と安全のジレンマ
寺西哲生
リニア中央新幹線の工事が原因とみられる水位低下などにより、岐阜県瑞浪市大湫(おおくて)町でトンネルの掘削が中断されたままとなっている。再開のカギとなるのは、工事現場から湧き出る水の対策だが、湧水(ゆうすい)対策と安全の両立が難しく、解決のめどがたっていない。
1月18日、JR東海は大湫町で住民向けの説明会を開いた。
大湫町では昨年2月から井戸やため池などで水位低下が確認され、現場近くにある日吉トンネルの工事では湧水が発生している。JR東海は水位低下について「工事の影響による可能性が高い」とし、地元の要望も受け、5月に日吉トンネルでの工事をストップした。
8月には地盤沈下も確認され、最大で8.1センチ(1月23日現在)の沈下となっている。この日の説明会でJR側は、地盤沈下について新たに「(リニアの)工事による地下水位の低下に起因して発生している可能性が高い」と説明。沈下の影響を受けた住民について、補償などの対応をしていく方針を示したほか、今後の水位低下対策について説明した。
開業後のトンネル損傷リスクに言及
その水位低下対策について、説明会でJR東海が住民に配った資料の中で、強い表現で書かれた箇所がある。
「(リニア)開業後の安全が…