富山地方鉄道の将来像を探る 新田知事も参加し初めて議論、支援策は
厳しい経営が続く富山地方鉄道(富山市)の将来像を話し合う会議が28日、富山市役所であった。新田八朗知事が初めて出席。県、富山市、魚津市など沿線7自治体のトップが顔をそろえた。今後、経営支援の具体策が話し合われる。
富山地鉄は利用客数の低迷や経費の高騰などで今年3月期決算の鉄道事業の赤字が約9億9千万円となるなど、5期連続で赤字となっている。今年2月に沿線自治体と勉強会を立ち上げ、支援策などを話し合っていた。
この日の会議では、「まず営業収支を黒字にすることが重要だ」(中川行孝・上市町長)、「利用してもらう方策を考えなければならない」(村椿晃・魚津市長)などの意見が出た。また、議論の進め方について水野達夫・滑川市長が「短期的、中長期的な問題があり、二つに分けて考えていくべきだ」と要望した。
富山地鉄への支援をめぐっては、7市町村が9月に県も議論に加わるよう求める要望書を提出していた。首長の意見を聞いた新田知事は、県としての支援を約束しつつ、「鉄道の乗客を、いかに増やすかに尽きる。そのために自治体と住民が、駅を中心とした街づくりをどのようにするかを考えることが大切だ」と述べた。
富山地鉄と沿線市町村のこれまでの話し合いでは、自治体が鉄道施設の維持管理費を負担し、運営は従来通り鉄道会社が行う「みなし上下分離」方式を検討。国の「地域公共交通再構築事業」の補助制度を利用する案などが出ている。
ただ、補助金を得るには、利用者増を目指す経営改善や新車両の導入などが必要。事業の再構築について、新田知事は県議会で、利用者増に向けた車両更新や増便を行う場合、事業費が約600億円にのぼる見通しを示し、「国が半分を負担しても県と沿線自治体の負担はそれぞれ150億円と想定される。相当な負担の覚悟が必要で、丁寧な議論がいる」と発言していた。
富山地鉄は、富山市と黒部市を結ぶ本線と、不二越・上滝線、立山線の3路線を運行。富山、魚津、滑川、黒部4市、上市、立山2町、舟橋村の7市町村を通る。