「東京から一番遠いまち」 赤瓦と青い海が作り出す風景 島根・江津
村井隼人
島根県出雲市からJR山陰線に揺られ、2時間弱。JR波子(はし)駅(同県江津(ごうつ)市)を降り、裏手の小高い丘を少し登ると、小さな展望台がある。
地元の人たちが木材で手作りした「古城山(こじょうざん)展望台」。秘密基地のようなこの場所から、赤い瓦屋根、白い砂浜、そして青い日本海が広がるのが見えた。
【撮影ワンポイント】石州瓦「日本海と赤瓦」
正午過ぎに展望台に到着し、日本海からの心地よい風を感じながら撮影開始。北西から南西にかけて連なる赤い屋根が見渡せた。砂浜が広がる南西は太陽が落ちるにつれ、みるみる逆光に。サイドから太陽光が当たり、立体感が出る北西にレンズを向けた。アクセントにJR山陰線を走る車両を入れた。
この特徴的な赤い瓦は「石州(せきしゅう)瓦」。島根県西部の石見地方で製造され、愛知県の三州瓦、兵庫県の淡路瓦とともに「日本三大瓦」と呼ばれる。江戸時代中期ごろから、赤色の瓦が使われるようになったという。
地元の瓦業者でつくる石州瓦工業組合の専務理事、森崎延正さん(64)は「イタリアのベネチアやフィレンツェのようでしょう。風景の写真を見た県外の若い人からも問い合わせがあります」と言う。
「以前は知る人ぞ知るスポッ…