「相当の覚悟必要」経営厳しい富山地鉄支援策 首長らが協議

前多健吾
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 厳しい経営が続く富山地方鉄道(富山市)の鉄道事業をめぐり、24日、富山市や魚津市など沿線7自治体のトップが集まって支援策などを話し合った。首長による会議は初めてで、必要費用の応分負担などを確認、30日にも県に支援を求める要望書を提出する。

 富山地鉄は利用客低迷や経費高騰などで2024年3月期決算の鉄道事業の赤字が約9億9千万円となるなど、5期連続で赤字となっている。

 富山市役所であった会議には富山地鉄の中田邦彦社長も出席、経営状況や利用者の推移などを説明した。首長側は「住民の生活の足、富山を代表する観光地へのアクセス手段として不可欠なインフラだ」という認識で一致、財政支援などの必要性を確認した。支援の具体策は今後検討するという。

 富山地鉄や沿線市町村はこれまで、自治体が鉄道施設の維持管理費などを負担し、運営は従来通り鉄道会社が行う「みなし上下分離」方式を検討。国の「地域公共交通再構築事業」の補助制度を利用する案などを協議している。

 一方、補助金を得るには、利用者増などを目指す経営改善が必要で、新車両の導入などの整備費がかかる。事業の再構築について、新田八朗知事は19日の県議会一般質問で、利用者増に向けた車両の更新や増便を行う場合、事業費が約600億円にのぼる見通しを示した。北陸鉄道(金沢市)のケースを参考に算出したという。

 そのうえで、「国が半分を負担したとしても県と沿線自治体の負担はそれぞれ150億円と想定される。相当の覚悟が必要で、財政負担を含め十分かつ丁寧な議論がいる」と述べた。

 富山地鉄は、富山市と黒部市を結ぶ本線と、富山市と立山町を結ぶ不二越・上滝線、立山町内の立山線の3路線を運行。富山、魚津、滑川、黒部4市、上市、立山2町、舟橋村の7市町村を通る。同社の要請で、沿線自治体は2月、路線の存続に向けた勉強会を設け、意見交換してきた。

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