南阿蘇鉄道、全線復旧から1年 次世代へレール継ぐ決意新た
2016年の熊本地震で被災した南阿蘇鉄道(南鉄、本社・熊本県高森町)が全線で運転を再開して1年がたった。復旧の喜びにわいた昨年度は経常損益が23期ぶりに黒字となったが、今後の見通しは決して明るくはない。次世代にレールを引き継ぐ取り組みは「待ったなし」の状況が続く。
笑顔もどった「ニコニコ饅頭」
復旧1年を祝うイベントが悪天候で中止となった14日の立野駅。テントをたたむ作業が続く中、1年前と変わらぬ笑顔があった。駅前に店を構える「ニコニコ饅頭(まんじゅう)」の4代目、高瀬大輔さん(52)だ。「イベント中止は残念ですが、この1年、震災前の日常を取り戻せた幸せをかみしめてきました」
立野駅で接続する南鉄もJR豊肥線も熊本地震で線路が土砂で埋まり、鉄橋が損傷するなどして不通となり、復旧の見通しも立たなかった。周辺の住民たちも避難する中、店は存亡の瀬戸際に立たされたが、熊本市内のスーパーなどが販売支援してくれて、何とか持ちこたえたという。
「あとちょっと、あとちょっと、とがまんを重ねました」。国道57号やJR豊肥線の復旧、新阿蘇大橋の完成に続いて、立野周辺の交通インフラ復旧を締めくくったのが、昨年7月15日に全線復旧した南鉄だった。
立野駅で南鉄のトロッコ列車…