東海道新幹線、22日中の運転再開を断念 23日始発から再開めざす
22日午前3時37分ごろ、愛知県蒲郡市内の東海道新幹線上り線路上で、夜間作業中の保守用車両2台が衝突し、いずれも脱線した。自走できなくなった保守用車両の撤去などの復旧作業は長引き、東海道新幹線は浜松―名古屋間で始発から運転見合わせが続いた。JR東海は同日夕、同日中の全面運転再開を断念、同日夜に23日始発から通常のダイヤ通りの運転再開をめざす方針を明らかにした。
保守用車両脱線で油漏れ、作業に手間取る
JR東海によると、この事故で、保守用車両の運転手ら男性作業員2人が頭や足などにけがを負った。
事故を起こしたのは線路のバラスト(砕石)を突き固めたり、運搬したりする保守用車両。停止中の1台に後続車が追突し、2台とも脱線した。現場では油漏れも確認されたため復旧作業に手間取った。
浜松―名古屋間は始発から運転は見合わせとなり、山陽区間への直通運転は中止となった。東京駅では、すべての「のぞみ」と「ひかり」が運転をとりやめ、「こだま」だけが発着した。JR東海はホームページ上で、混雑防止のため「来駅は控えてください」と呼びかけた。
事故現場がある蒲郡市の消防などによると、午前3時55分ごろ、「保守点検中に作業員が負傷した。額から出血している」と現場から119番通報があり、事故を起こした車両のそばで作業していた40代男性を救急搬送した。搬送時は自力で歩ける状態で、軽傷とみられるという。
「今日中に着ければ…」
新幹線の運転見合わせに伴い、全日空(ANA)は同日午後から羽田―大阪(伊丹)便を臨時に運航すると発表した。JR東日本とJR西日本は北陸新幹線東京―敦賀間に上下1本ずつ臨時「はくたか」を走らせるとともに、敦賀―大阪間に新幹線と接続する臨時特急を走らせると発表した。
迂回(うかい)ルートとなる北陸新幹線は終日混雑し、指定席はほぼ満席。自由席の混雑率は最高約180%にのぼった。
このトラブルの影響で、22日朝の東京駅では、新幹線の改札前で駅員に運行状況を聞いたり、代わりの交通手段をスマートフォンで探していたりする人が複数いた。中には大きなスーツケースを持った外国人観光客もいた。
さいたま市の50代の夫婦は、22日から姫路と神戸に旅行にいく予定だったという。年に1回の楽しみで、6月からホテルなどを予約し、計画を立てていた。運転見合わせのニュースは東京駅に来る途中で知ったという。「今日中になんとか着けばいいけれど……」と会社員の夫。運転再開まで、東京駅周辺で時間をつぶすという。
東京都内の会社に勤める40代の男性はこの日、広島県の取引先に出張する予定だった。すぐに広島行きの飛行機を探したが、午前7時にはすべて売り切れていた。約束は午後1時。取引先には同僚と4人で行く予定だったが、1人はすでに前乗りして広島にいるという。「まだ東京駅に来ていない同僚を待って、どうするか考えます」と話した。
JR名古屋駅の新幹線乗り場の前では、大きなスーツケースを引く人たちが大勢立ち往生していた。ハンカチで汗を拭きながら足早に構内を移動する人や、ワイシャツ姿で電話をする男性などの姿が目立った。
メーカーに勤務する会社員男性(32)は、これから同僚と一緒に新富士駅へ行く予定という。「仕事の研修があり、午前9時半過ぎの新幹線に乗る予定だった。3~4時間くらい遅れるかもしれない。研修の後は今日中に千葉に行かなければならず、予定が全体的にずれこんでしまうので困る」
母と一緒に東京ディズニーリゾートに行く予定という女性(58)は「今年仕事を退職し、がんばったご褒美として楽しみにしていたのに。現地でホテルを予約しているので、今日中に着かないといけない」と話した。