日立、鉄道で売上高1兆円へ 主戦場は海外、車両しのぐ「信号事業」
高橋豪
日立製作所が鉄道事業の売上高を伸ばし、年間1兆円規模に乗せそうだ。巨大市場の欧州で買収を重ねて事業規模を大きくし、海外比率は8~9割に達する。かつては車両の製造が主だったが、鉄道の運行を支えるシステム関連の売り上げが上回る見通しだ。
5月31日、英国に本社を置く子会社の日立レールが、仏防衛・電子機器大手タレスの「信号関連事業」の買収を完了させた。買収額は約2800億円。運行管理システム、車両の制御装置といった事業を手中に収め、新たにフランス、ドイツ、カナダなどに進出する足がかりとなる。
年間で2千億~3千億円規模のタレスの分を上乗せすれば、2024年度に鉄道事業の売上高は初めて1兆円を上回る。多くがデジタルに精通する9千人がグループに入ることで、日立全体の事業の幅も広げられる。
日立の鉄道事業は、機関車に始まり、数々の新幹線や特急車両を手がけてきたことで知られる。国内外向けに車両をつくる笠戸事業所(山口県)は100年以上の歴史を持つ。
だが、ここ10年ほどの間に業態は様変わりした。ビジネスの幅が広がり、もはや車両づくりだけに頼り切る必要はなくなっている。
二度の大型買収とモデルチェンジ
少子高齢化が進む国内では大…