最後の国鉄型特急電車381系「やくも」、ついに定期運行終了へ

筋野健太
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 山陰と岡山県をつなぐ国鉄型特急電車381系「やくも」(岡山―出雲市)の定期運行が6月15日、老朽化のため終了する。これで、臨時列車を除く国鉄型特急電車の運行がなくなることになる。

 381系電車は1973年に国鉄中央線篠ノ井線の特急「しなの」として登場。曲線が多いこの路線を高速で走行できる自然振り子式車体傾斜装置を営業車両で初めて備えた。

 山間部の渓谷や海岸沿いの路線は急曲線が多く、速度を落とすため所要時間が多くかかってしまう。

 そこで開発されたのが自然振り子式の技術だ。台車と車体の間に「コロ」と呼ばれるローラーを設け、曲線通過時に遠心力で車体を傾けることで、一般車両の制限速度より約20キロ速く曲線を走ることができる。

 特急「やくも」は、全列車が今年4月に登場した新型の273系電車に置き換えられることになる。同車は車両に搭載されたセンサーが速度や走行するカーブなどの情報を得て、データベースの情報と照合して走る車上型制御付き自然振り子方式を初めて採用。JR西日本によると乗り物酔いの大幅な改善が見込めるという。

 日本最大の鉄道愛好家団体、鉄道友の会の鹿山晃事務局長(69)は「国鉄からJRに移行して今年で37年。381系電車の定期運行終了は、ひとつの時代の区切りになる。クリーム色と赤色の国鉄色の特急車両は、登場当時は子どもたちにとって夢を形にした憧れで、年配となった今では懐かしさの象徴だった」と話す。

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