児童公園の「デゴイチ」が町の指定文化財に 保存「これから先も」
「デゴイチ」の愛称で知られ、引退後は奈良県王寺町の舟戸児童公園(同町舟戸1丁目)でひっそりと余生を送るD51形蒸気機関車が同町の文化財に指定された。町によると、県内で保存されている蒸気機関車の文化財指定は初めてといい、「これから先も50年、100年と保存していく」としている。
D51は動輪が4つある大型の蒸気機関車で、旧鉄道省によって1936(昭和11)年から1115両が製造され、各地で貨物列車の牽引(けんいん)に活躍した。
王寺町が文化財に指定したのは1944年に製造されたD51形895号機。柳井機関区(山口県)や津和野機関区(島根県)などを経て、71年には奈良運転所に配置され、関西線を走って翌年に廃車となった。
車体は73年から舟戸児童公園で静態保存され、すぐ脇を走るJR関西線や近鉄田原本線の「後輩」の列車を半世紀にわたって見守ってきた。
車両を所有するのはJR西日本だが、無償貸与を受けた町が管理しており、数年前までは国鉄OBらがボランティアで車体に油を塗るなど清掃活動を続けてきた。
町は1890(明治23)年に県内初の鉄道(王寺―奈良)が開通したことから、「鉄道のまち」をPRしている。町地域交流課の岡島永昌主幹は、2026年の町制100周年に合わせて「お色直しを含めた整備を検討したい」と話している。