札幌駅前再開発ビル、工事費高騰で開業2年遅れの可能性、着工も延期

新田哲史
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 JR北海道の綿貫泰之社長は15日、札幌駅南口に整備する再開発ビルについて、開業が計画より最大で2年遅れ、2030年度になる可能性があると明らかにした。資材価格や人件費の高騰が背景にあり、規模の見直しもありうるという。今年度に予定していた着工も来年度に延期する。

 再開発ビルは30年度末の北海道新幹線札幌延伸に合わせ、JR北と札幌市などで作る再開発組合が整備する。地上43階地下4階建てで、高さは道内一の約245メートルを計画。商業施設やホテル、オフィスの入居を想定し、28年度の開業を目指していた。

 綿貫社長はこの日の会見で、総額2500億円としていた事業費が人件費や資材価格の高騰で増える恐れがあるとして、工期やビルの規模を見直しているとした。そのうえで、「遅くとも30年度末までに開業させたい。新幹線(札幌延伸)の開業に間に合わせるのは変わらない」と語った。

 背景には、次世代半導体製造会社ラピダスによる千歳市での工場建設や札幌市内での大規模再開発など道内で大型工事が集中していることがある。工期を延ばして作業量をならすことで、人件費を抑える効果が期待できるという。

 最初の工事として昨年8月に閉店した駅直結の商業施設エスタの解体を今年度中に始める予定だったが、24年度中に延期する。正式な工期や規模は決まり次第、発表するという。ビル内には大型バスターミナルも開業する計画だが、これも遅れる可能性がある。

 JR北は鉄道事業が利用低迷で厳しくなるなか、不動産や小売りなどの「非鉄道」事業を成長させる戦略を掲げる。国の支援なしで黒字化する「経営自立」をめざす31年度には、同事業の利益を18年度の1・5倍となる150億円へ拡大する目標だ。その柱と位置づけるのが今回の再開発ビルだ。工期や規模を見直せば、想定した賃料収入が得られず、経営再建に影響が出る可能性もある。(新田哲史)

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