リニア工事の残土、拒否か受け入れか 重要湿地の保全めぐり割れる町

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本井宏人
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 リニア中央新幹線トンネル工事で発生する残土処分場の建設受け入れ問題を話し合う岐阜県御嵩町の審議会が、渡辺幸伸町長への3月の答申を前に大詰めを迎えている。焦点は、国選定の重要湿地がある処分場候補地で、どこまで残土を受け入れるか。JR東海の計画を全面拒否する意見と、JRと協力しながら湿地保全を進めた方がプラスという意見に割れている。

 今月11日にあった「リニア発生土置き場計画審議会」の第6回会合。委員の1人が「湿地を守るため、残土を入れる代替地は町内にないのか」と町の事務局にたずねると、別の委員が「今さらそんなことを言っても、JRが応じるわけがない」と激しく応酬し、会長の三井栄・岐阜大学教授が止めに入った。

 処分場計画地は、すでにJRがほぼ取得済みの候補地A(16ヘクタール)と、町有地の候補地B(7ヘクタール)があり、双方に湿地が含まれる。湿地をめぐっては、世界自然保護基金(WWF)ジャパンが「回避」を念頭に対策を求めるなど、自然保護団体から保全を求める文書提出が相次いでいる。

 審議会は、町が選んだ専門家や町内各種団体の推薦者、公募した町民の計14委員で構成する。第3回会合では、候補地Bに封じ込めが計画されていた重金属などを含む「要対策土」について、町外への搬出を答申に盛ることを決めた。第4回では「町が継続的にチェックする」とする条件付きで盛り土造成の安全性を認めた。

「理想派」「現実派」、双方の主張は

 湿地をテーマにした第5回では、保全のあり方をめぐって様々な意見が出た。第6回で事務局が「今後の保全策は町とJRが協議を続ける」とする条件付きでJRの計画を受け入れる素案を示したが、委員から「譲歩しすぎだ」「これまでの審議が全く反映されていない」などの声が出て、意見集約を再び持ち越した。

 委員は、候補地ABとも残土を受け入れず湿地を一体的に守るとする「理想派」と、一定量の残土を受け入れた上で、JRと協力しながら湿地の重要区域を保全するという「現実派」に大別される。

 理想派は「ゼロベースで始め…

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