JR東海は、東海道新幹線の営業列車を使った法人向けの荷物輸送サービス「東海道マッハ便」を2024年度から始める。導入を間近に控えた8日、JR東日本と連携し、伊勢名物の「赤福餅」を名古屋駅から東京駅経由で、約700キロ離れた新潟駅まで運んだ。

 午前8時すぎ、名古屋駅15番ホームに東京行きの「こだま」が到着。この日早朝に製造された赤福餅が入った段ボール3箱(12個入り折り箱計120箱)を担当者が積み込んだ。こだまの空きスペースになっている業務用室に保管し、東京駅で上越新幹線に積み替えた。山陽新幹線内での人身事故の影響で、当初の予定から約2時間遅れの午後3時42分に新潟駅へ到着。その後、同駅構内で販売され、開始5分で売り切れたという。

 赤福餅の消費期限は、製造日を含めて冬季でも3日間と足が早い。新幹線での高速輸送について、販売会社・赤福(三重県伊勢市)の担当者は「日持ちがしない商品をつくった当日に販売できるのはメリットが大きい」。同社の商圏は東海と関西が中心だといい、「日本各地に赤福餅をお届けして、三重県や伊勢に興味を持っていただきたい」と期待を寄せる。今後は本格的な導入も検討するという。

 「マッハ便」の主な対象は、生鮮食品を始め、精密機械の部品や医療関係品などの輸送を想定。新幹線を運行するJR他社はすでに同様のサービスを実施しており、今後は複数の新幹線にまたがった輸送も進めていく方針だ。

 JR東海の丹羽俊介社長は「JR各社の荷物輸送サービスがネットワークとして結ばれる。これまで結ばれていなかった地域同士が結ばれることで、より新しい需要が生まれるのではないか」と話している。(辻健治)