「鉄道か、バスかで将来は変わらない」ローカル線存廃、地域への責任

有料記事線路は続くか

聞き手・西本秀
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 広島・岡山両県を走るJR芸備線の一部区間の存廃などを話し合う「再構築協議会」の初会合が26日、広島市内で開かれる。

 国が議長を務め、沿線自治体や鉄道事業者らが議論を進める全国初の試みだ。対立を超えて地域の未来をどう描くべきか。協議会に「学識経験者」として参加する呉高専の神田佑亮(ゆうすけ)教授に聞いた。

シリーズ 線路は続くか

現場を歩き、関係者へのインタビューを重ね、ローカル鉄道の問題を考えます。

 ――再構築協議会の学識メンバーに選ばれました。

 私の専門は、交通とまちづくりをつなげること。大切にしたいのは、専門家の視点と同時に地域の視点だ。協議対象となる芸備線の区間は、生まれ育った広島県庄原市東城町を走っている。

 ふるさとの将来を考える責任は重い。専門家として俯瞰(ふかん)した視点を持ちつつ、人口減少が進む中山間地のあり方について、参加者と一緒になって考えたい。

 ――協議会制度が創設された意義は?

 ローカル線をめぐる議論は、事業者と沿線自治体の一対一の対立構図が続いてきた。2018年の三江線廃止のときもそうだった。一対一では「廃止するか、しないか」という論争になりがちだ。

 これまで国もオブザーバー的な立場だったが、今回は事務局を務める。交通手段をめぐる議論だけではなく、地域のまちづくりや国全体の動向など広い視野で、対立する両者を導けるなら、協議会の意義は大きい。

 ――子どものころの芸備線との関わりは?

 小中学生のときは自分ひとりや友達と、東城駅から芸備線に乗り、備後落合駅で木次線に乗り継いでスキー場へ出かけていた。鉄道が通っているからこそ、スキー板を担いで、子どもだけで移動できるチャンスがあり、親もそれを認めていた。車社会になると、地域の子どもは自分だけでは動けなくなる。

駅前に集約の先行事例も

 ――地域住民は存廃論議をどう見ている?

 親戚や友人がいまも地元に暮らしている。地域住民はどう考えていいか、悩んでいるんじゃないか。

 なくなると困るのは間違いな…

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