ローカル私鉄「ことでん」が60数年ぶり新型車両 26年度にも導入

福家司
[PR]

 香川県のローカル私鉄、高松琴平電気鉄道(ことでん)は28日、六十数年ぶりとなる新型車両を2026年度後半にも導入すると発表した。また、琴平線太田―仏生山間の新駅設置に伴い、26年には同線の複線区間を広げる方針を示した。

 ことでんによると現在、営業している車両80両の平均車齢は54年で、そのうち14両は60年超で、「これ以上の延命は困難」という。

 これまで他の鉄道会社の中古車両を購入して使ってきたが、近年価格が高騰。調達も困難なことから、車両の新造によって古い車両の置き換えを進めることにした。

 新造車両はことでん初のステンレス車で、従来の車両より電力消費量を40%以上削減。

 車内の振動を抑える空気ばね台車や温湿度センサーによる空調を導入し、乗り心地も向上させる。

 長さ18メートルの3ドア車で、車内はロングシートだが、1人分ずつくぼみを付けたバケットシートになっている。

 24年度中に設計し、25年度以降に製造を始める。26年度後半~27年度中に第1弾の2編成分の計4両で営業運転開始を目指す。

 1両の価格は2億5千万円程度。すでに補助を受けることが決まっている設計費と同様に、製造費のうち9割は国、県、沿線市町の補助を受けたい、としている。以後も導入を進める方針だが、具体的な計画は未定という。

 28日に会見した植田俊也社長は「当社単独で車両の新造は難しい。国、県、地域のご支援で、香川のインフラとして整備することにご理解をいただきたい」と話した。

 また、高松市が琴平線太田―仏生山間の同市多肥地区に設置を計画している新駅の開業に合わせて、同線栗林公園―三条間と太田―仏生山間合わせて2・8キロを、26年にも複線化すべく事業を進めていく。

 これにより、すでに複線化している高松築港―栗林公園間、三条―太田間も含めて、高松築港―仏生山間の計8キロが複線化される。

 複線化に要する経費は18億円程度で、国、県、市の補助金を受け、24年度から栗林公園―三条間で整備を始める。

 新駅は市が国、県の補助金を受けて設置を進めており、市は24年度予算で駅前のバスターミナル整備事業費を計上している。

 植田社長は「新駅をバスとの乗り換えなど交通結節点となる拠点駅と位置づけ、停車時間の増加によって運行時間が延びないよう、複線化を進めたい」と話している。(福家司)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら