AI音声が注意呼びかけ→エスカレーター歩行半減 名古屋で実証実験

松永佳伸
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 エスカレーターの安全利用を呼びかけるため、名古屋市が市営地下鉄伏見駅でセンサーとAI(人工知能)を用いて取り組んでいる実証実験で、導入前と比べてエスカレーターを歩く人が半減したことが分かった。本格的な導入に向け、市は実証実験を継続することにしている。

 同市は2023年10月、エスカレーターを立ち止まって利用することを義務付ける「エスカレーター歩かないで条例」を施行している。

 今回の実験は「来栖川電算」(名古屋市中区)が開発したAIと高品質な人流解析ができる装置を使用。エスカレーターを歩いたり、走ったりする人がいると、スピーカーから男性の声で「危険です。エスカレーターは立ち止まってご利用ください」「条例違反です。エスカレーターは歩かないでください」と呼びかける。

 3月19日にあった検証結果の報告会によると、実験前の1月18日~24日はエスカレーターの利用者6万7613人のうち、歩いた人は1万572人だった。これに対し、実験中の2月19日~25日は、利用者6万6188人のうち、歩いた人は5206人とほぼ半減。歩く人の割合も15・6%から7・9%に減少したという。

 実験では、利用者が左側に偏って、1列になって列が詰まってくると、「片側が空いています」と2列で立ち止まって利用するように求めるメッセージも流れる。報告によれば、実験前と比べ、右側を空けて並ぶ人も約8%減少。利用者の待機時間(輸送効率)は実験前とほとんど差はなかったという。

 実験結果について、市消費生活課の担当者は「歩行者の減少効果があり、右側に乗る人が増えた」と評価。「本格的に導入する際の設置・運用方法や費用対効果を検討する必要がある」としており、市は来年度も実証実験を続けるほか、今後は市内の他の駅での実施も検討する。(松永佳伸)

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