津波避難時の線路横断、JR北海道が条件付き容認 見通しの良さなど

新田哲史
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 JR北海道は17日、津波からの避難時に踏切以外の場所で線路を横断することを条件付きで認める方針を明らかにした。沿岸部の自治体から具体的な要望があれば、協議に応じる。これまでは法律に基づき原則禁止していたが、国が容認する見解を示したことを受け、対応を変更した。

 JR北によると、津波災害時の緊急避難に限る▽平常時は横断できないよう門などを設ける▽列車や避難者の安全のため、見通しのいい場所に限る▽避難場所にたどり着くまでの通路が整備されている――ことを条件に線路横断を認める。実際に横断する際は避難者が安全を確認する必要がある。

 鉄道営業法は「鉄道地内にみだりに立ち入る」行為に罰則を設けており、JR北は災害時でも線路への立ち入りを原則禁じてきた。ただ、太平洋に面する自治体からは、日本海溝・千島海溝沿いを震源とする巨大地震が起きた場合、「沿岸部の住民が最短距離で高台などに避難する際に線路が支障になる」と横断許可を求める声が上がっていた。

 昨年10月に道内の自治体が国土交通省に陳情したところ、同省は鉄道営業法の規定について「天災、火事、人命救助などの場合はその限りではない」との見解を示した。これを受け、JR北が対応を再検討したという。

 すでに厚岸町登別市がJR北と協議している。厚岸町は2014年に厚岸駅構内の1カ所について特例的に横断の許可を得たが、門静駅―厚岸駅間の1カ所でも検討している。登別市も今月15日、JRに協議を申し入れており、具体的な場所を今後詰める。

 JR北は「今後、ほかの自治体からも要望があれば、積極的に協議に応じたい」としている。(新田哲史)

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