赤字は続く、でも売り上げ過去最高 ある地方ローカル線の攻めの策は

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黒田早織
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 ローカル鉄道の活性化策について、各地で議論が行われている。そのひとつで兵庫県加西市小野市を結ぶ北条鉄道は、厳しい経営の中、あえて増便に踏み込んだ。昨年度の売上高は過去最高に。支えるのは、ファンの力だ。(黒田早織)

 9月中旬、JR加古川線や神戸電鉄が乗り入れる粟生(あお)駅(小野市)から、北条鉄道に乗った。1両のみのワンマン運転で、乗客は中年男女6人ほど。レトロなワイン色のシートに腰掛けると、車両はのどかな田園風景の中をゆっくりと進んだ。終点の北条町駅(加西市)までは8駅13・6キロ、約20分だ。

 粟生―北条町間の開通は1915年。国鉄北条線廃止に伴い、85年からは県や加西市などが株を持つ第三セクターとして営業する。社員数は13人だ。

 民営化から約40年。赤字は続き、常に廃線議論と隣りあわせだった。走行する加西市の人口は過去30年で約1万人減り現在4・2万人あまり。沿線に名高い観光地があるわけでもない。

 経営を圧迫するのは、レールと車両の整備コストだ。固定費のため削減が難しく、「走らせれば走らせるほど赤字になる」と藤井秀明・常務取締役(62)。事情はどの鉄道でも一緒で、ローカル鉄道はこうした維持費をいかに補うかを模索する。

 そんな北条鉄道は3年前、ある策に打って出た。

 単線の路線の中間点に、車両…

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