独自

ななつ星誕生から10年 豪華クルーズトレインが運ぶ地域の夢

有料記事

細沢礼輝
[PR]

 豪華列車「クルーズトレイン」の先駆けとして、JR九州の「ななつ星in九州」が登場して今年で10年。いまや全国各地を走るクルーズトレインの魅力はその華やかさだけではない。「村の宝」を全国に広め、伝統芸能の復活も。ローカル線の旅へといざなう豪華列車に、託す夢は大きい。

 人口約3200人の熊本県山江村。盆地特有の寒暖差を生かした特産品「やまえ栗」は、かつて年410トンを生産していたが、近年は後継者不足などで4分の1に減少。ところが、2013年にななつ星がデザートに渋皮煮を採用すると知名度が急上昇し、全国から注文が寄せられるようになった。

 村は19年、栗のブランド化をめざす条例を制定し、生産量も回復基調にあるという。村企画調整課は「ふるさと納税の返礼品でも人気が高い。栗は村の宝です」と話す。

 JR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風」が立ち寄る日本海沿いの東浜駅(鳥取県岩美町)。おもてなしで披露される「東浜音頭」は、20年以上前に途絶えていた郷土芸能を地元有志が復活させたものだ。有志グループの浜口丈夫(ますお)会長(73)は「他のイベントに呼ばれて披露する機会も増え、地域の絆が深まっている」と話す。

 JR東日本の「トランスイート四季島」が立ち寄る岩手県遠野市でも地元の遠野郷神楽が披露される。

 担い手として舞台に立つ菊池孝二さん(73)は「発表する機会が増えれば練習にも身が入り、上達が早まる」。メンバーにも張り合いが出て、伝承に役立っているという。

 JRのクルーズトレイン担当者は「優雅な食事や美しい車窓風景に加え、沿線の伝統や文化に触れられることがお客様の支持につながっている」と話す。

■鉄路維持へ希望の兆し つな…

この記事は有料記事です。残り1190文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません