前職は公務員、都営線駅員……75年ぶりの新設路面電車に集った人材

有料記事

高橋淳
[PR]

 宇都宮市栃木県芳賀町で8月26日に開業した次世代型路面電車(LRT)は、国内では75年ぶりとなる新設の路面電車だ。新しい歴史を刻もうと、運行会社「宇都宮ライトレール」には県内外から人材が集まった。

 栃木で生まれ育った植木雅斗さん(22)は高校卒業後、地元を走る大手私鉄に電気設備の技術者として就職。運転士へのあこがれから転職を決めた。

巨大なビルの夜景や都会の人波に圧倒

 研修は大阪市阪堺電気軌道で受けた。ミナミと呼ばれる繁華街を走る路面電車で研修し、巨大なビルの夜景や都会の人波に圧倒される思いだったという。

 栃木のLRTは、始発駅の宇都宮駅東口から郊外の芳賀町を結ぶ約14・6キロ。車窓からは田園風景や鬼怒川を望める。植木さんは「季節を感じられるのが魅力。大阪もいい街だったが、やはり栃木のこの風景が大好きです」。

 同じく運転士になった清水建太郎さん(33)は群馬の館林市役所職員だった。広報や都市計画課で働き、公務員の仕事にやりがいを感じていた一方で、路面電車新設と運転士募集のニュースに心が動いた。「随分悩みました。もともと鉄道が好きで、こんなチャンスは二度とないと決断しました」

 伊藤由香さん(44)がLRT開業のニュースを知ったのは、東京の都営大江戸線月島駅の駅員として働いていた2年前。職員の応募条件などを調べると、年齢制限がなかった。年を理由にあきらめていた運転士の夢に火がついた。千葉出身で栃木にゆかりはない。「入社試験はだめもとで受けた」というが、合格を勝ち取り、運転士としての一歩を踏み出した。

 2015年に発足した宇都宮ライトレールは社員約90人で、うち運転士は51人。経験豊富な中堅やベテランだけでなく、未経験者も受け入れた。運転士の候補者は京都、大阪、愛知、広島、岡山、富山など全国の私鉄8社に1~2年社員として出向して免許を取得し、実務研修を受けて戻ってきた。

「歴史のスタートに立ち会えて光栄」

 LRTのセールスポイントで…

この記事は有料記事です。残り332文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら