琵琶湖クルーズ船運休、終戦の日の催しは中止に 滋賀でも台風に備え

武部真明 鈴木洋和
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 台風7号は滋賀県には15日昼過ぎから夕方にかけて最接近する見込みで、JR西日本は、同日中の琵琶湖線や湖西線などの運転取りやめを決めた。この日は78回目の終戦の日。「平和の鐘」など各地でさまざまな催しが予定されていたが、台風の影響を考慮して、相次いで中止となった。(武部真明、鈴木洋和)

 彦根地方気象台によると、台風周辺の暖かく湿った空気が滋賀県内に流れ込むため、大気の状態が非常に不安定になるとみられる。今回の台風は移動速度が比較的遅いため、影響が長引くおそれがあるという。15日朝から夜にかけ、暴風、土砂災害、河川の増水・氾濫(はんらん)などに警戒を呼びかけている。

 台風周辺で発生した雨雲の影響で、滋賀県内では15日、非常に強い雨が広範囲に降り、明け方から警報を発表する可能性が高い。14日午後4時現在の予報で、14日午後6時から15日午後6時にかけての降水量は、多いところで北部200ミリ、南部250ミリと見込まれる。予想以上に雨雲が発達した場合は、土砂災害警戒情報を発表する可能性もある。

 滋賀県内が15日朝には台風の暴風域に入ると見込まれ、警報を発表する可能性が高いという。15日に予想される最大風速は琵琶湖上、陸上とも20メートル、最大瞬間風速はいずれも35メートル。

 滋賀県は14日、ホームページで「台風による大雨と強風に注意しましょう」として、懐中電灯やモバイルバッテリー、非常用食料などの準備、避難場所や経路の確認などを呼びかけた。

 近江八幡市は14日に警戒本部会議を開き、市内11カ所のコミュニティセンターを避難所として開設することを決めた。東近江市は五個荘コミュニティセンターなど8カ所、湖南市では三雲コミュニティセンターなど8カ所など、各地で自主避難所が設置された。

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 JR西日本の在来線では15日の終日、県内の次の区間で始発から運転を取りやめる。北陸線の敦賀―長浜▽琵琶湖線の長浜―京都▽湖西線の京都―近江塩津▽草津線の柘植―草津。

 近江鉄道信楽高原鉄道も15日の始発から終日、すべての列車の運転を取りやめる。

 琵琶湖汽船は15日、ミシガンクルーズと竹生島クルーズを全便運休する。

 西日本高速道路中日本高速道路によると、県内の高速道路では、次の区間で15日夕方から夜に通行止めの可能性がある。名神の京都東インターチェンジ(IC)―栗東IC▽新名神四日市ジャンクション―甲賀土山IC、北陸自動車道の長浜IC―米原IC。

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 滋賀県平和祈念館(滋賀県東近江市下中野町)は14、15日の催しすべての中止を決めた。暴風警報が東近江市内に発令された場合、臨時休館とするという。

 同館は11~16日、「戦後78年 未来へとつづく平和の燈(ともしび)」というテーマで戦争と平和に関する催しを企画した。14日は市民グループによる演劇「死神(しにがみ)(赤紙)配達人と指さされ」と映画シリアにて」、15日には朝倉敏夫館長による平和メッセージと、君島東彦・立命館大国際平和ミュージアム館長による平和学習講座、戦死した特攻兵の家族の手紙を読み解く「特攻兵と遺族の想い」、児童合唱団のミニコンサートなどを予定していた。

 同館は「重要な終戦記念日のイベントだが、非常に残念。参加者やボランティア、来場されるみなさんの安全確保を優先して判断した」としている。

 15日、大津市内の寺院や教会約300カ所が鐘やチャイムを鳴り響かせ、戦没者を追悼し、世界の平和を祈る催しも中止が決まった。1987年に恒久平和都市宣言をした同市が呼びかけ、89年から続けている。守山市内の111の寺が一斉に鐘を鳴らす「平和の鐘」も取りやめとなった。

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