滋賀県甲賀市(旧信楽町)で1991年、信楽高原鉄道(SKR)とJR西日本の列車が正面衝突し、42人が死亡、628人が負傷した事故から14日で32年になった。現場近くで両社による追悼法要があり、社長らが安全への決意を新たにした。

 直近3年の法要はコロナ禍で参列者数を絞るなど規模を縮小したが、今年は通常通り営まれた。午前10時半から、遺族や両社の関係者ら約30人が参列して黙禱(もくとう)した。事故発生時刻の午前10時35分ごろ、SKRの列車が警笛を鳴らして付近を通過した。

 SKRの正木仙治郎社長は「安全運行を第一に、地域を支える鉄道として走り続けられるよう着実に歩んでいく」、JR西の長谷川一明社長は「信頼して利用いただける鉄道を築き上げることをここに誓う」とそれぞれ追悼の言葉を述べた。

 兵庫県の明石歩道橋事故(2001年)で次男を亡くした下村誠治さん(64)も参列した。信楽高原鉄道の事故を受けて遺族らが立ち上げた「鉄道安全推進会議」(19年解散)の共同代表をかつて務めた。法要後、今年1月にJR京都線などで列車15本が雪のため長時間立ち往生した問題に触れて、「事故などは突発的に起こるので、鉄道会社は教訓を一つずつ積み上げ、安全対策に取り組んでほしい」と報道陣に語った。(瀬戸口和秀、鈴木洋和)

事故の資料 後世のために引き継ぎ、保存

 信楽高原鉄道事故に関する大量の資料が今春までに関西大学法学研究所の書庫に収められた。集めたのは、遺族らが立ち上げた民間組織「鉄道安全推進会議」(TASK)の会長を務めた吉崎俊三さん(故人)。引き継いだ大学教授が退職にあたり後世に残すために研究所に移した。

 資料は厚手のファイルで約25冊分。国の航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の設立に大きな役割を果たしたTASKの活動記録や、事故の裁判資料、新聞記事などが含まれる。

 吉崎さんが2018年に亡くな…

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