引退電車「ハチゴー」次の行き先は精神科病院 「受診ためらわずに」

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森本美紀
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 ステンレス製の銀色の車体、先頭部分の赤帯がトレードマーク――。東京と神奈川を結ぶ東急電鉄田園都市線(渋谷―中央林間)を中心に通勤・通学の足として活躍した8500系。「ハチゴー」という愛称で鉄道ファンの人気も高い。1979年から2022年まで使われた8530号(10両編成の1車両)について、引退後の次の仕事に向けた準備が進められている。

 4月26日午前10時、横浜市にある東急電鉄の工場で長さ約20メートル、重さ約30トンの車両がクレーンでつり上げられた後、トレーラーに積まれた。そして同日深夜、車体の整備のため別の工場へと出発した。前面の行き先表示器には「東京さつきホスピタル様行」の文字。

今秋にも公開 車内見学や講座など計画

 電車がある精神科病院に来ませんか――。この車両を買い受けたのは、東京都調布市にある精神科病院「東京さつきホスピタル」だ。車両を敷地内に設置し、車内見学や市民向け講座などに活用しようと考えている。「隔離」「収容」といった言葉とともに語られやすい精神科病院を、身近なイメージに変えることがねらいという。

 同病院は10月の一般公開をめざし、車両が設置される予定の畑を今月から整備する。病棟と通所施設の間にあり、就労支援事業所などに通う人らが野菜を栽培している場所だ。

 車両は「だれでもいつでも楽しめる」をコンセプトに無料で公開するほか、認知症予防講座の会場やカフェなどとして活用する構想が検討されている。客室の座席やスピーカー、室内灯、扇風機、乗務員室などはそのまま。車内放送設備なども使えるようにする予定という。

 取り組みのきっかけは21年…

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