県と国交省の主張かみ合わず 新幹線めぐり1年ぶりに「幅広い協議」

寿柳聡
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 九州新幹線西九州ルートについて武雄温泉―新鳥栖のあり方をめぐる佐賀県国土交通省の「幅広い協議」が9日、県庁であった。1年ぶりに開かれた対話の席だったが、県側は国交省の説明を「なぜ受けなければいけないのか不思議」などと反発。議論はかみ合わず、新幹線をいかした地域の将来像をだれが描くのかについても、考えの違いがあらわになった。

 協議は昨年2月10日以来で、7回目の開催。川島雄一郎・国交省鉄道局幹線鉄道課長と山下宗人・県地域交流部長が対面でやりとりした。

 国交省側は、佐賀空港そばを通るフル規格ルートについて「技術的に困難」と結論づけた検討結果を報告しに来た。川島課長が説明を始めようとすると、山下部長は「不思議でしょうがない。なんで我々が説明をうけるのか」とさえぎった。「我々がそのルートを求めたわけではない」

 県が武雄温泉―新鳥栖のフル規格での整備を受け入れていないのに、国が描いた特定のルートの検討結果を報告されることへの違和感を訴えたのだ。

 山下部長はそのうえで、「(佐賀駅を通る)アセスルートはあまりにもデメリットが大きく考えられないと申し上げてきた」と改めて強調。「周辺には高速道路や高規格道路、空港や港湾など様々な要素がある。単に人を運ぶとか時間短縮効果とかだけじゃなく、新幹線がどういかされて、どういう未来が描けるのか、鉄道局の考えを出して下さいと我々は求めていた」と述べた。

 川島課長は「(南北の)ルートは我々も分からない状態。一定の仮定のもとで設定して検討したもの」と説明し、「(新幹線が)通ったはいいけれど、地元が何もしないということであれば地域の発展にはつながらない。(未来像は)我々から提供するというよりは、一緒に考えていくということではないか」と主張。「デメリットが大きいというのであれば解決策をJR九州も交えて議論するのも選択肢ではないか」とも話した。

 山下部長は「我々はフル規格はダメだと言っている。フルについて効果も含めて一緒に考えましょうとは、今はならない」と反論。在来線の利便性についても「(議論できるのは)大きなメリットがあった時。先にJR九州と話をすることはない」と否定し、両者の主張は平行線に終わった。(寿柳聡)

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