「新幹線依存では成長できない」 JR東海が社内文書で示す危機感

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内藤尚志
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 JR東海が10年後のグループ像を示した指針で、社員にげきを飛ばした。「新たな事業への積極的な姿勢が失われている」。危機感の背景に何があるのか。

 「新幹線に依存する従来のビジネスモデルから脱却しなければ、将来にわたって成長することはできません」

 複数の関係者によると、JR東海が昨年末に冊子にまとめた指針「グループビジョン2032 挑戦と実践」には、そんな記述がある。冊子はグループ各社に配ったが、社外には公表していない。

 JR東海は「日本の大動脈」の東海道新幹線を重視した経営を進めてきた。国鉄民営化の立役者の一人で、昨春に逝去した故・葛西敬之名誉会長の意向でもあった。

 新幹線の輸送力を向上し、乗客を増やすよう努めた。沿線の不動産開発も、名古屋駅ビルなど新幹線との関連が強いところを優先してきた。

 東京―名古屋間の高速での輸送に強力なライバルが現れず、デフレ下でも値下げ競争を回避できたのも大きい。

 こうして稼ぐ力を高める経営モデルを築き、コロナ禍前の2019年3月期は7千億円超の営業利益を計上。その9割は新幹線を中心とする運輸業で稼いだ。広大な鉄道網を持つJR東日本でも7割で、JR東海の運輸業頼みが目立っていた。

 そこをコロナ禍が襲い、21…

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