視覚障害者も提訴 駅無人化めぐり、車いす利用者らの訴えに加わる
JR九州が駅を無人化したことで移動の自由を制限され苦痛を受けたとして、車いすの利用者が損害賠償を求めた訴訟で、視覚障害がある女性が2日、大分地裁に追加提訴した。昨年12月にJR津久見駅で視覚障害者が死亡した事故を受け、新たに安全性を争点に加えた。
追加提訴したのは、大分市の釘宮好美さん(48)。訴状によると、釘宮さんは全盲ではないが視野が狭く、外出時には盲導犬を伴う必要があるという。
JR九州は2022年3月から九州各県で新たに29駅を終日、48駅を午後から無人化した。釘宮さんがよく利用する坂ノ市駅も午後から無人となり、窓口で切符を購入したり、電車の遅延情報やホーム変更、掲示板や貼り紙の内容を駅員に教えてもらったりすることができなくなったという。
また、訴状は、視覚障害者の駅ホームからの転落事故が10~19年度の10年間で私鉄を含め全国で年間平均74・7件発生しているとの国の調査結果を紹介。転落事故防止に最も有効とされるホームドアが設置されている駅は県内にはなく、釘宮さんも転落しそうになった経験が何度もあったという。
提訴後、釘宮さんは「私たち障害者は健常者の助けがないと生活できない。訴訟を通じて、JRには、安全対策をしっかりとってくれないと、私たちが駅を利用できなくなることを分かってもらえたら」と訴えた。原告側弁護団長の徳田靖之弁護士は「昨年12月には、津久見駅で恐れていた痛ましい事故が起こってしまった。終日駅に駅員さんを配置し、介助が必要な人に介助できるよう、安全に配慮した駅に戻ってほしいと思っている」と話した。