長野電鉄「マッコウクジラ」が現役引退へ 日比谷線の初代車両を改造

滝沢隆史
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 丸みを帯びた特徴的な外観から「マッコウクジラ」の愛称で親しまれた長野電鉄(本社・長野市)の車両が、19日を最後に現役から退く。営団地下鉄(現・東京メトロ日比谷線の初代車両を譲り受け、主力として長野で30年間活躍した。製造から60年が経つ最後の1編成の引退まで残りわずか。鉄道ファンらが連日、名残を惜しんでいる。

 日比谷線は初めて東京五輪が開催された1964年に全線開通した。長野電鉄では営団地下鉄から払い下げられた初代車両3000系を寒冷地仕様に改造し、急勾配に対応したブレーキも装備。イメージカラーの赤色のラインを入れ、93年に「新型」の長野電鉄3500系として再デビューさせた。

 木島線や屋代線(いずれも廃止)など長野電鉄各線に計37両が投入されたが、老朽化などで次々と廃車になった。2020年からは後継として、引退した日比谷線の2代目車両を新たに導入。3500系からの置き換わりも進んでいる。

 最後まで残っていた現役の1編成(2両)は、1963年に製造された。長野市中心街の長野~善光寺下駅の区間は地下を走行するため、「レトロな雰囲気に加え、『当時の日比谷線に乗っているような感覚になり、昔の東京を思い出す』と人気が高かった」(広報担当者)という。

 1月中旬に臨時の引退イベント列車に乗車した長野県松本市の高校講師、岩垂利夫さん(65)は「仕事や旅行などで東京に出掛けたときによく乗った」と感慨深げ。「いまの車両と比べてドアの窓が小さく、当時の地下鉄の特徴がよく出ている。余生として地下を走る長野電鉄と縁があったのもお似合いで、『長い間、ごくろうさまでした』と伝えたい」と別れを惜しんでいた。

 長野電鉄3500系は、17日まで定期列車として運用されるほか、19日まで臨時のイベント列車としても走らせる。解体や保存など引退後の活用については未定という。(滝沢隆史)

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