根室線はまだまだ生かせる 存続望む地域住民らが懇談会

三木一哉
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 2016年の台風被害で一部区間が不通となり、廃止・バス転換の方向となっているJR北海道・根室線の富良野―新得間(81・7キロ)について、「根室線はまだまだ生かせる」と考える沿線住民や鉄道ファンが昨年12月17日、北海道富良野市内で廃止問題を考える懇談会を開いた。

 「富良野鉄道未来の会」の事務局長でアウトドアインストラクターの松原良成さん(52)は、沿線自治体首長の同意だけで廃止が決まることに疑問を抱いている。今回の会合は、存続のためのアイデアを出し合うねらいで開いた。

 この日は道内の鉄道史にも詳しいアイヌ民族の写真家・模型作家の吉村圭一郎さんが「根室本線沿線とアイヌ文化」と題して講演した。吉村さんは「開拓時代の鉄道建設にはアイヌ民族が案内役としてかかわった。だから、アイヌ民族の交易の道と鉄道の主要幹線は重なり合う。根室線もその一つ。富良野―新得間の廃止はそうした交流の歴史を断つものだ」と語った。

 自由討論では根室線を存続させるため、「沿線の歴史を学びながら、アイヌ民族の衣装を着て旅をするタイムトラベル列車」「列車の中や駅で演劇やコンサートを開く」「蒸気機関車が牽引(けんいん)する列車の運行」といったアイデアが提示された。

 松原さんは、千歳方面から石勝線を通り、根室線と接続して富良野方面に向かう短絡線の建設を提唱している。「新千歳空港からトマム、富良野、美瑛、旭川空港、旭川を結ぶ観光列車があれば、インバウンド客を中心に利用者が期待できる」という。

 松原さんは「ローカル線は地域の中だけで完結する公共交通ではない。域外と地域を結ぶ機能の充実をもっと考えてほしい。鉄道ははがしてしまったらもう戻らない」と話している。(三木一哉)

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