今や姿を消した「急行」に若者が集まるわけ テツ社長が推すトキめき

有料記事リレーおぴにおん

聞き手・岸善樹
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 急行列車は旧国鉄時代、全国を縦横に走っていた。JRでは定期運行から姿を消して久しいが、日本海を間近に見ながらかつての急行形車両が疾走する鉄道がある。新潟県第三セクター「えちごトキめき鉄道」(トキ鉄)が運行する「観光急行」だ。筋金入りの鉄道ファンでもある鳥塚亮社長(62)が考える急行列車の魅力と、地方鉄道が生き残る道とは。

リレーおぴにおん 「鉄道150年」

 ――なぜ特急ではなく急行なのですか。

 「そもそも目的地に早く着く速達列車は『急行』だったのです。特急は『特別な急行』です。速達性が売りなのは急行で、豪華な設備が売りなのが特急でした。急行車両は4人掛けのボックス席で窓が開くけれど、特急車両は2人掛けで背もたれの向きを変えられる転換クロスシートで、空調を完備して窓は開かない。急行は普段使いで、特急はいまのグリーン車のような感じだったのではないでしょうか」

 ――それがなぜ特急ばかりになったのでしょうか。

 「いわゆる特急の大衆化を国鉄が進めたからです。1970年代に『エル特急』が登場します。それまでの特急は基本的に全席指定でしたが、自由席を設定した。毎時ゼロ分発車など、わかりやすく利用しやすいことを強調しました。特急には当たり前に連結されていた食堂車も徐々になくなります。自由席が満席で座れない乗客が食堂車にやってきて、チーズとかをつまみに延々とビールを飲んで目的地に行くこともあったからではないでしょうか」

 「特急の『特別』感は薄くなります。急行とどこが違うのか。それなら急行も特急に格上げして、急行より高い特急料金をもらえば、国鉄やJRの経営上もありがたい。設備が劣る車両の場合は、追加料金不要の快速に格下げしよう――。そうなって急行はしだいに廃止され、現在の特急、快速、普通というかたちができました」

 ――その急行をなぜ、あえて走らせるのですか。

 「日常的な存在だった急行が…

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