【全4回・第2回】色は語る─既存車も塗り替え?!─近鉄通勤車のカラー戦略と揺れるアイデンティティ
- 2025/06/19
- 16:41
※「既存車両も塗り替えられる?!」──そんな注目が集まる中、色の変化がもたらすインパクトを深掘りする。
▲AIによるイメージ画像(笑)
近鉄の通勤車両といえば、「赤」が伝統だった。
8000系、8600系、そして2620系や9820系など、多くの車両が赤を基調とした塗装で走っていた。 それは“近鉄らしさ”を象徴するアイコンであり、他社の車両と一目で区別できる強い個性でもあった。
ところが、2000年代初頭に登場したシリーズ21は、ガラッと印象が変わった。
ベースカラーはグレー。無機質で都会的。赤は使われず洗練された黄色の帯、前面のガラス張りとともに、「近未来感」を打ち出していた。
おそらくそこには、「阪急や京阪に負けない沿線イメージの向上」を狙う近鉄の意思があったのだろう。 駅設備や車内アナウンスの自動化など、ソフト面でも都市化への対応が進み始めていたのもこの頃だ。
だが今回の8A系(赤)登場で、かつての“原点”に回帰するかと思いきや、2026年から登場予定の1A系・6A系では、まさかの「ブルー」が投入される。
■ 伝統の赤:地域密着の象徴として
赤帯は、近鉄が「関西の私鉄」として地域とともに歩んできた証だった。
山間部を走るローカル線も、都市の地下鉄直通車両も、基本的には赤が共通語だった。
「近鉄らしさ」とは、すなわち“赤い電車”だったのだ。
▲マルーンな四角顔も当初は走ってた♪
■ グレーの挑戦:シリーズ21と都会志向
シリーズ21は、見た目の印象が大きく変わった。
全体はグレー基調、そこにわずかな赤のライン。
スマートで現代的──そして少し冷たい。
「近鉄らしさ」からは距離を置き、どこか阪急や京阪に負けない沿線イメージの向上を狙った姿勢が見える。
シリーズ21のデザインには、単なる車両更新ではなく、沿線の価値を高め、住みたい街を演出する戦略の一環だったのだろう。
▲シリーズ21の登場も衝撃的だったが・・・
■ 赤と青の併存:現代の“機能色”として
8A系が赤に戻ったことで、「やっぱり近鉄は赤だよな」と安堵したファンも多かっただろう。
だが続く1A系・1B系にはブルーが採用され、6A系では赤が使われた。
近鉄は色を“路線識別”の機能色として使い分ける戦略に転じたと見られる。
ただ、南大阪線は線路規格の違う独立系統であり、従来どおり赤を選んだのは自然な流れともいえる。
一方で大阪線では青を導入し、奈良線には引き続き赤が使用される。
これは特に鶴橋など両線が交わる場面での誤乗防止やインバウンド需要を意識した可能性が高い。
地元の人なら行先表示で判断できるが、東花園行きといった表示だけでは他地域や訪日客には分かりにくいからだ。
もっとも、この色分けがどこまで徹底されるかは未知数だ。
徹底するには、現在運用されている既存車両についても、順次「青」への塗り替えが始まる可能性がある。
もしそうなれば、それは沿線に住む人々にとっても鉄道ファンにとっても、非常にインパクトの大きい出来事となるだろう。
まさに、見慣れた“赤い近鉄電車”が、“青い近鉄電車”へと姿を変える未来が来るのかもしれない。
将来的に運用の都合で「色のごちゃ混ぜ運用」が当たり前になってしまう日が来るかもしれない──そんな懸念も残る。
■ 色が語る企業の姿勢
見た目にこだわっていた時代から、効率と分かりやすさを重視する時代へ。
これは鉄道会社が「移動サービス業」へと変化していることの現れでもある。
だがその中で、色が持っていた“感情的な価値”や“地域とのつながり”はどうなるのか。
▲子供のころは未来の近鉄はこんな感じと思っていた♪
新しい近鉄通勤車の塗装からは、そんな問いが浮かび上がる。
次回(第3回)は、幌付きの“顔”に焦点を当て、
そのデザインに込められた意味や近鉄らしさの今後について考察していく予定です。
【全4回・第1回】シリーズ21は何だったのか? 近鉄通勤車“顔の歴史”いよいよ新時代へ? もお見逃しの方はぜひに♪

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