京都鉄道博物館(梅小路京都西) ('25.2.8)

 


引き続き、京都鉄道博物館。
蒸気機関車(SL)が展示されている扇形車庫へ。
京都鉄道博物館の前身、梅小路蒸気機関車館では、ここがメインの展示施設だった。

 

2年半前は大雨で、ほとんどのSLを正面から見られなかった。
今度も大雪でどうなるかと思ったが、扇形庫前のターンテーブルにはほぼ雪がない。
閉鎖中と発表されていた「SLひろば」はここじゃなくて、すぐそばの、滑り台などの遊具がある遊び場のことだった。

 


「SLスチーム号」が、勢いよく煙を噴き上げた。
乗車券を買うと、蒸気機関車が牽引する客車に乗ることができる。
今日の牽引機はC56 160。1939年(昭和14年)製、テンダー(炭水車)つきの小型機関車。
時間がないので私はこれには乗らず、そのかわり、展示されているSLをじっくり眺めて回ることにする。
(C56が走る姿は、かつて大井川鐵道で見たことがある。そのときはタイ国鉄カラーの緑色だった)

 

 

 

 


屋外にC62 2号機。デフレクター(除煙板)につばめマークつき。特急つばめ仕様だが、全てのつばめ用機関車にこのマークがあったわけではない。軸配置2C2(先輪2軸、動輪3軸、従輪2軸)の「ハドソン」型。
この隣に、同じハドソン型のC61 2号機もある。旅客用蒸気機関車としてはC62に次ぐ大きさで、大量の石炭を投入できる自動給炭装置が初めて搭載された。
(ともに1948年(昭和23年)製。C62はD52、C61はD51からの改造だが、ほぼ新造に近い車両もあったらしい)

 

 


扇形庫を、向かって右側から順に見ていこう。
C53は国産のSLで唯一、出力強化のため3シリンダーを持っていた(ほかは2シリンダー)。東海道・山陽本線で特急・急行用に使われた。この45号機は1928年(昭和3年)製で、C53唯一の現存車である。

C59はそのC53の後継機で、C62登場まで特急の牽引機として東海道・山陽本線で活躍、後に全国各地の幹線で使用された。戦前から戦後にかけて製造されたが、この164号機は戦後すぐの1946年(昭和21年)製。
写真は正面から撮っているけど、扇形庫の中にも入れるので、横や後ろからも蒸気機関車を間近で見られる。

 


C51は1919年(大正8年)から製造された。当時としてはたいへん高性能で、1930年(昭和5年)から東海道本線に登場した特急「燕」(スピードの速さから“超特急”とよばれた)を牽引した。
この239号機は1927年(昭和2年)製。お召し列車専用機関車だったため、外観にお召し装飾が施された。正面に菊花紋、デフレクターに鳳凰のマークがつき、金属部分が磨き上げられている。

 


D50は貨物需要の高まりを受け、9600形の後継機として登場。通称“デコマル”。140号機は1926年(大正15年)製。D50は、数多く造られた割には保存機が少なく、この140号機のほかには北海道北見市に1両あるだけだとか。

D52は日本最大の貨物用蒸気機関車。戦時中の貨物輸送のため、質を落としてでも大量生産・大量輸送を優先させる戦時設計で製造されたが、戦後に輸送需要が拡大したため、まだ使える車両は改造して使用された。468号機はD52のラストナンバーで、戦後の1946年(昭和21年)になって完成した。

 


C55とC58の、いずれもトップナンバー(1号機)。
C55は1935年(昭和10年)から、地方の幹線で活躍した中型の旅客用SL。

C58は1938年(昭和13年)製。ローカル線向けの旅客・貨物両用SL。釜石線(SL銀河)、秩父鉄道(パレオエクスプレス)で動態保存されている。
以前はこのC58 1にお召し列車の装飾が施されていたが、当機にはお召し列車牽引の経験がなかったからか(C58自体のお召し列車牽引例は多数あり)、お召し装飾は先ほどのC51 239に移されている。

 


私が昔、「梅小路蒸気機関車館」時代に撮影した、お召し仕様のC58 1が写っている写真。

 


C62のトップナンバーもある。さっき同じC62の2号機も見たけど、やっぱり大きい。隣のB20との大きさの違いが際立つ。
日本最大の貨物用蒸気機関車・D52のボイラーを流用した、日本最大の旅客用蒸気機関車。1号機・2号機とも1948年(昭和23年)製造。

B20は戦時中に設計された小型蒸気機関車。構内入れ換え用に使われた。10号機は戦後の1946年(昭和21年)完成。戦時設計でしかも用途が限られたため、戦後すぐに淘汰されたが、本機含め2両が生き残った(もう1両は北海道岩見沢市で静態保存)。
B20は全長も7メートルしかなく(C62は約21.5メートル)、扇形庫の後ろにかなりスペースがあいているので、そこにもう1両小型のSLが入っている。

 


1070形1080号機。イギリスで1901年(明治34年)に製造された6200形を、1926年(大正15年)に改造した車両。1939年(昭和14年)、日鉄鉱業に払い下げられたが、2009年(平成21年)JR西日本に譲渡され、梅小路蒸気機関車館に保存された。
これは前回、2年半前に撮った写真。大雨だった前回、濡れずに撮れる場所にあったから写真を撮れたのだ。
……今回もまた何か降ってきた。

 


雪だ。また雪が強くなってきた。

 

 

 


こんな激しい雪になったけど、雨じゃないから一応、屋外に出て機関車の正面を見ることはできる。
B20 10の隣は9600形。日本で初めて量産された貨物用蒸気機関車で、丈夫で使い勝手も良かったため長く活躍した。9633号機は1914年(大正3年)製。

 


一等客車マイテ49。こちら側に最後尾の展望デッキが向いている。
特急富士の一等展望車として1938年(昭和13年)に2両製造された。(最初はスイテ37040形の37041号機、後に称号改正でスイテ49形2号機となる)。戦後は進駐軍に接収されるが、返還後は特急「はと」の一等車となった。(1953年からマイテ49形)

そしてその隣に、1,115両と、日本で最も多く造られた機関車、デゴイチ(デコイチ)ことD51のトップナンバー、D51 1号機。1936年(昭和11年)製。
D51はD50の改良型で、D50が入れなかった路線にも入れるようになった。本来は貨物用だが、主に急勾配区間で旅客用にも使われていた。

 


D51は増備された期間が長かったので、造られた時期によって形がかなり異なる。
1号機はもちろん最初期の形。煙突のすぐ後ろに長いドームがのびているのが特徴。この初期型D51は通称「ナメクジ」とよばれていたらしい。

 


扇形庫のここから左側では、動態保存のSLが整備されている。中には入れないけど、外からSLを見ることは可能。
整備中のD51 200。2017年から、梅小路の構内のみならず、本線でも運行可能な状態に復元され、SLやまぐち号などを牽引している。

 

 


8620形と、D51 200のテンダー(炭水車)。
8620形は1914(大正3年)、日本で初めて量産された旅客用蒸気機関車。この8630号機は最初に造られた18両のうちの1両。
平坦な路線では貨物用にも使われた。線路等級がやや低い路線でも運用できたため、同時期に造られた貨物用の9600形同様、蒸気機関車の末期まで使われていた。
『鬼滅の刃』に登場する、無限列車の機関車のモデルとされる。

 


2年半前に私がここを訪れたとき、SLスチーム号として走行していたのがこの8630だった。

 

 

 


いちばん左に、ほかとは全く姿の異なるSLがたたずんでいた。
1880年(明治13年)にアメリカで造られ、官営幌内鉄道が輸入した1号機「義経」(義經)号だ(官設鉄道編入後、7100形7105号機となる)。ダイヤ形煙突、大きなカウキャッチャー、煙突の後ろのベルなどがいかにもアメリカ製らしい。
後年、各所が改造されていたが、1952年(昭和27年)、製造当時の姿に戻して、動態復元された。

1990年(平成2年)の「国際花と緑の博覧会」で運転され、花博終了後は大阪の交通科学博物館で保存展示。2014年、京都鉄道博物館の開館に先立ち、再び動態復元された。
なお、さいたま市の鉄道博物館に2号機「弁慶」(辨慶)号、小樽市総合博物館に6号機「しづか」号が保存されている。

 


さっきのスチーム号が戻ってきた。スチーム号に乗っていた大勢のお客さんが、扇形庫の方に向かって歩いている。
出発前は青空だったのに、今こんな状態だから、お客さんも戸惑ったことだろう。
「さらば今年最初の雪の華(日本縦断紀行243日目-5 梅小路公園)」へ続く)

 

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