冬の玄界沿岸鉄路紀行 3
西鉄新宮駅から貝塚線・福岡市地下鉄・JR筑肥線を通って筑前前原駅まで来ました
ここからさらに筑肥線を西に進んでいきます
写真左側の福岡市地下鉄の電車から、写真右側のJR九州の電車に乗り換えます
JR九州の電化区間はほとんど交流で電化されていますが、筑肥線の姪浜~西唐津間だけは福岡市地下鉄と相互直通運転を行うため直流で電化されています
103系は国鉄が製造した直流通勤型電車で、昭和38年から大量に製造されました。高度経済成長期の通勤ラッシュの光景の映像に出てくる電車はたいていこの103系電車です。
ただしJR九州の103系は、筑肥線電化・地下鉄直通運転に伴い昭和58年に導入された、103系としては最末期の1500番台であり、見た目の印象は首都圏や関西圏で活躍した電車とは違った印象です
しかし車内は金網の荷物棚、二段窓など国鉄電車の面影が残っています
7時8分に電車は発車します
玄海灘が見えました
再び玄界灘に出てきました
冷たい北風が吹きつけて海は白く波立っています
九州以外にお住まいの方は「九州は暖かいところだ」というイメージをお持ちの方が多いようです
確かに宮崎・鹿児島あたりに行けば暖かいかもしれませんが(それでも防寒着が必要なくらい寒い)、
福岡・佐賀・長崎は日本海気候の地であり、容赦なく冷たい季節風が吹きつけます。むしろ山陽・四国の瀬戸内沿岸地域のほうが温暖なくらいです。
鹿家を過ぎると県境を越えて佐賀県に入ります
車窓から見える海は唐津湾に変わり、
浜崎を過ぎると電車は虹の松原の中を走っていきます
虹の松原は216haに100万本のクロマツが茂っており、日本三大松原の一つとされています
そしてその名もずばり「虹ノ松原駅」に停車
虹の松原を過ぎると電車は高架線に入り、東唐津駅に向かって走っていきます
この先、昭和58年の筑肥線電化・福岡市地下鉄直通運転に伴い付け替えられた路線です
筑肥線はもともと、博多から松浦川東岸の東唐津に向かい、そこでスイッチバックして唐津線の交点に設けられた山本駅を経由し伊万里のほうに向かっていました。
唐津市の中心街は松浦川の西岸にあり、そこへは佐賀から延びてきた国鉄唐津線の唐津駅がありました。しかし筑肥線を建設した北九州鉄道は松浦川の広大な河口部に鉄橋をかける資金がなかったのでしょう、唐津市中心街まではいきませんでした。
博多から来た列車は東唐津でスイッチバックして南下し、川幅が狭くなったところで鉄橋を渡って唐津線の山本駅で交わってから伊万里のほうへ向かっていました。北九州鉄道は昭和12年に国有化されましたが、その後もこの形態は久しく変わりませんでした。
昭和58年、筑肥線電化・福岡市地下鉄直通運転の際、唐津市付近でも大規模な線路の付け替えが行われました。虹ノ松原駅から新線を建設して唐津駅まで直通させ、福岡からの電車は唐津市中心部の唐津駅まで乗り入れるようになりました。東唐津駅は新線上に移設されました。
虹の松原から旧東唐津駅を経由して山本までの路線は廃止されました。唐津から伊万里に向かう列車は、唐津線の線路を通って山本で筑肥線に入って進むようになりました
結果、筑肥線は博多~唐津間と山本~伊万里間に分断されてしまいました。
時刻表の路線図を見ると、幹線を示す黒い線の筑肥線の中に、唐津~山本間だけが唐津線で地方交通線を示す青い線で描かれています。
かつて東唐津へ向かう線路があった付近
この先、旧東唐津駅の跡地には、現在は外資系のリゾートホテルが建っているようです
電車は新線上に移設された現在の東唐津駅に停まります
筑肥線を建設した北九州鉄道が渡れなかった松浦川の河口を、電化後に作られた高架橋で一気にわたっていきます
そして電車は唐津駅に到着
唐津からは唐津線に入って終点の西唐津に向かって走っていきます
唐津線は佐賀から西唐津までの路線です。ほとんどは非電化ですが、西唐津駅に車両基地が併設されており、筑肥線の電車が乗り入れる唐津~西唐津間のみ直流電化されています
そして終点の西唐津、7時55分着
西唐津駅は行き止まりの終端駅です
旅客ホームは一本だけですが、
構内は広く、車両基地が併設されており、筑肥線・唐津線の電車・気動車がここに集結しています
今乗ってきた電車
車両基地のほうに入っていきます
この先、東松浦半島を回って呼子を経由し伊万里までを結ぶ国鉄呼子線が計画されていました。このうち西唐津~呼子間は路盤のほとんどが完成していましたが、国鉄の財政が悪化し開業することはありませんでした。地元では第三セクターによる開業の道も模索したそうですが実現に至らず未成線のまま終わっています。
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