浮羽支線廃止
朝倉市の杷木、うきは市の浮羽発着所を起点に山間部へと伸びる西鉄バス久留米の「浮羽支線」。
杷木から北へ向かう宝珠山・小石原系統、杷木から浮羽発着所を経由して南に向かう神杉野系統の2つの系統が現存しています。
バスファンの間では人気の高い路線でしたが、2024年3月31日をもって廃止されることが決定されました。
今回はそのうち、神杉野系統に乗ってきたときの様子をご紹介します。
筑後川を渡って
2024年9月日。
午前中に浮羽支線の宝珠山・小石原系統に乗り、午後からは神杉野系統に乗っていきます。
神杉野系統は以前乗ったことがあるので今日はおさらい。
前には行かなかった場所に行きたいと思います。
再び杷木から乗るのはローザ。
発車するとまずは筑後川の北岸、朝倉市杷木から南岸のうきは市浮羽発着所へと向かいます。
この区間は一般路線バスのみで福岡と久留米を行き来するルートを構成する一部であり、代替がない区間のため、廃止後は福岡市と久留米市を西鉄の一般路線バスのみで行き来できなくなります。
最初のバス停、昭和橋にやってきました。
かなり年代物のバス停で、行先には「笹尾」「神杉野」「本宮」「JR久留米」「西鉄久留米」「吉井営業所」「杷木」といろんな行き先が書いてありますが、現状行けるのは神杉野と杷木だけ。
ちなみに「笹尾」「本宮」は神杉野と同じ浮羽支線を構成していた系統たちですが、2014年に廃止となっています。
昭和橋を出て、筑後川を渡ります。
筑後川の対岸はうきは市。
久大本線の線路を渡り…
次に大石水道を渡ります。
ローソンの敷地内に入って、
浮羽発着所に到着。
ローソンとバス停がくっついた面白いバス停です。
県境を越えるバス
ここからバスは山の方へと向かいます。
陶芸窯の横の坂道を上がり…
浮羽大橋を渡ります。
浮羽大橋の向こうに見えるのは合所ダム。
バスはしばらくダム湖に沿って走っていきます。
ダムの名の由来になった合所バス停を通過。
やがてダム湖は終わり、隈上川上流の川沿いを走っていきます。
見える景色はすっかりや山の中。
道も細く、なんでこんなところをバスが走ってるんだろう…と前来たときと同じ感想が浮かびます。
棚田のようなものが車窓に。
実は日本棚田百選のひとつ、「つづら棚田」が近くにあるのだとか。
渓流の様相となった川沿いを走ります。
山深いといっても集落が点在しており、バスは集落の中のバス停を通り過ぎながら走ります。
昔は乗降客もいたのでしょうが、今となっては乗り降りはなく…
いくつか集落を通り過ぎ、
注連原というバス停を越え、道の両側から民家が消えてしばらく。
ある看板が見えてきました。
そこに書かれている文字は「大分県前津江村」。
そう、ここが福岡 - 大分県境。
西鉄の一般路線バスでは唯一の大分県区間に突入します!
ということで看板を越え、やってきたのは大分県日田市前津江村。
県境を越えた最初のバス停が神杉野。
今回はここで下車します。
ちなみにさらに路線は2バス停先の「コミュニティセンター」まで続いていますが、そこは前回乗ったので該当箇所を引用しておきます↓
大分県に入ったバスはさらに山道を進み、最初のバス停・神杉野を通過。
以前はここが終点でしたが少し前に延伸されました。
そして…神杉野から2バス停、ついに終点・コミュニティセンターに到着。
バス停周辺は山の中の集落といった感じで近くには小さな川も流れています。
ここは先にも書いたとおり、大分県日田市前津江村。しかしながら現在この地区に乗り入れるバスはこの1路線のみとなっており、例えばこの地区に住む方が日田市中心部へ出ようと思った場合はこのバス以外に公共交通手段がないため、必ず福岡県に出ないといけないということになります。
↑より引用
私を降ろしたバスは終点のコミュニティセンターへ向け走っていきます。
バスはすぐに山道へと消えていきました。
西鉄の歴史を閉じ込めたバス停
ということで、こちらが神杉野バス停。
待合室が併設されていますが、かなりボロボロ。
さっき引用した部分に書いてあるように、以前はここが終点だったため、待合室横にバスが転回できるようスペースが広く取ってあるのが特徴です。
バス停の標柱。
コミュニティセンター側は一般的な西鉄グループのものなのに対し…
浮羽側はなぜか西鉄の社紋付きの古いタイプ。
これは貴重ですよね。
さらに待合室の中にはもっと珍しいものがあって…
それがこちら!
「行先路線ごあんない」と書かれたパネルに書かれてあるのは浮羽支線の路線図…ではなく、なぜか福岡市内中心部の路線図!
しかもよく見ると、
かなり昔のもののようで、「市内貫線」1番や「西高下」「西山」行きのバスがあったり、荒江線に「201A」「204A」があったりと今とは全く異なる路線の様子が描かれていました。