JR九州における、在来線のフルカラー行先の鉄道車両と言いますと、最初の車両は筑肥線で活躍しております上の画像の305系電車でありまして、平成27年の運行開始から10年を迎えております。
JR九州のLED行先と言いますと、昭和63年に導入されました783系電車が最初でありまして、現在は廃止となっております「有明」などでその姿を見る事ができておりましたが、現在も「ハウステンボス」・「みどり」の一部編成でLED行先の姿を見る事ができております。
その後はその783系電車の増備車をはじめ、811系電車・787系電車や883系電車・813系電車などでは再び幕式行先の姿が見られておりましたが、平成11年に303系電車で、その後は885系電車や817系電車・813系電車の増備車やキハ220形200番台気動車などでLED行先が見られるようにもなっておりまして、キハ220形200番台気動車では路線バスで見られるような大型行先を前面に採用するようにもなっておりまして、視認性が大幅に向上するにも至っております。
そして、先述のように305系電車で初めてフルカラー行先が採用されておりまして、その表示の仕方も、日本語(漢字)・アルファベット文字(英語)以外にも、これまで表示する事がなかった中国語・韓国語の表示も出るようになっておりまして、大きく見た目も変わっております。
(普通 福岡空港行き、アルファベット文字)
(普通 福岡空港行き、韓国語)
(普通 福岡空港行き、中国語)
また、もちろんフルカラーでもありますので、複数のカラーでも見られております。筑肥線では、快速列車も運行されておりますので、黄色のLED行先も見る事ができております。
(快速 西唐津行き、アルファベット文字)
(快速 西唐津行き、韓国語)
さて、今回ここからご紹介しますのは、その後7形式でフルカラー行先が採用されております。しかも、このうち5形式ではリニューアルや交換によりまして既存形式の車両から採用された車両も見られておりますので、皆様にご紹介してまいります。
305系電車導入後にフルカラー行先が採用されましたのが811系電車でありまして、画像のリニューアル車より採用されております。
(PM1504編成)
このリニューアルは、平成29年に上の画像のPM1504編成が皮切りとなっておりまして、以降「コロナ禍」で中断しておりましたが、現在は8編成を除きましてリニューアル化が進行しておりまして、いよいよリニューアルも終わりを迎えるか?と言う域まで来ております。
(PM2017編成)
そのリニューアルより、側面の行先がフルカラー化されておりまして、幕式行先から画像のように変わっておりまして、見やすくなっている事も伺わせております。その表示も、区間快速に関しましては画像のように幕式行先と同様橙で表示されてもいまして、見た目も変わっている事がお分かりいただけます。
(「南福岡から快速」のアルファベット表示の有無の場合)
(「普通」行先の場合)
平成30年には、新形式として821系電車・YC1系気動車が導入されておりましたが、ここでもフルカラー行先が採用されております。
このフルカラー行先は、側面で採用されてもいまして、行先表示自体もサイズが大きくなっております。これによりまして、見やすくなっている事が画像からも伺えますが、それとともに4か国語で表示されてもいますので、どんな方々でもわかりやすさをも重視している所も見られるのではないかとも思います。
(日本語)
(英語)~アルファベット表示
(中国語)
(韓国語)~ハングル文字
一方、YC1系気動車でも821系電車と同様フルカラー行先となっておりまして、画像の快速長崎行きでの場合では、821系電車と同様表示の4か国語によります仕方が以下の通りでありますが、フルカラーでもありますので大変目立っていいのではないかとも思います。
(日本語)
(英語)
(韓国語)
(中国語)
令和に入りまして、令和2年には787系電車のリニューアル車・「D&S(デザイン&ストーリー)列車」であります「36ぷらす3」が登場しましたが、ここでもフルカラー行先が採用されております。この場合では、座席区分もフルカラー化されておりまして、上下2段でフルカラーの姿が見られるようにもなっております。
さらに、787系電車の在来車でもフルカラー行先が見られておりまして、特に「リレーかもめ」に使用されます8両編成の車両は1編成を除きましてフルカラー化されておりまして、幕式と見た目が大きく変わっております。
ちなみに、「リレーかもめ」の長崎行きの場合では幕式行先でも表示が細かく見られておりますが、フルカラーLED行先では画像のように2段の表示となっておりまして、こうした所が上下フルカラーでよかったのではないかと思う所が見られております。やはり、幕式行先のように細かい表示が出しにくいのもあるようですが、逆にわかりやすくてはいいのではないかと思います。
令和6年には、3色LED行先が存在しておりました817系電車にも側面がフルカラー化した編成が見られるようになっておりまして、現在佐世保(VN031編成)・熊本(VT516編成)・鹿児島(VK523編成)の各車両センターに各1編成が存在しております。
(VN031編成)
側面の種別は、画像のようにワンマンの場合はこれまでと同様緑での表示となっております。また、普通は他の車両でも見られますように灰色で表示されておりまして、この表示の仕方も811系電車のリニューアル車に準じた形となっております。それにしても「ワン マン」と表示が一定されていないのが気になる部分でもあります・・・。
そして、今年に入りましてからは改正前にフルカラー行先化された車両も見られております。画像の大分車両センター所属のキハ185系気動車は、その下の画像にもありますようにフルカラー化されておりまして、画像は「回 送」ではありますが、愛称表示では「ゆふ」の場合は赤色、「九州横断特急」の場合は緑色の表示もそれぞれ見られておりまして、4か国語の表示も見られております。
(行先)~表示は回送ですが、先述の表示の姿も見られます
また、フルカラー化に伴いまして操作盤も新しくなっておりまして、画像の操作盤から操作するようになっているようであります。それでも、幕式行先も見られている事も想定しまして、行先表示は幕式行先と同じ内容が入っておりまして、フルカラー化されたから書き換えられると言った事はないようであります。
(行先表)~これまでの内容と同様です
そして、新製導入時は3色LED行先ではあったものの、これまで側面行先に故障が見られていた編成がありました、唐津車両センターの303系電車にも全3編成でフルカラーLED行先が見られるようになっております。
(K01編成)
(K02編成)
(K03編成)
先述のように、側面行先で故障が見られていた車両もありました303系電車でありますが、3月に画像のように全3編成でフルカラー化が行われておりまして、これまでの姿から大きく変化が見られております。その表示の仕方も、305系電車に準じた形となっておりまして、4か国語の表示も見られるようにもなっております。
(日本語+アルファベット表示)
(韓国語)
(中国語)
また、快速の場合も以下のようになっております。快速の場合は黄色で表示されますので、よりフルカラー化されている事をアピールしていると思いますし、305系電車に準じているのもよりわかるのではないでしょうか。尚、この303系電車全3編成フルカラーに伴いまして、唐津車両センターの6両編成の電車は全てフルカラー車となっております。
(K03編成、前面)
(側面、快速区間表示時)
(中国語)
(韓国語)
(アルファベット表示)
今回は、JR九州の在来線車両によりますフルカラー行先に関しましてご紹介しましたが、305系電車誕生から10年、いつの間にか既存の形式の車両まで改造車が現れている訳ですので、それだけ行先表示の更新には大きく貢献している事には間違いないでしょうか。しかもフルカラーによりまして視認性も大幅に向上したでしょうから、この姿はわからなくない所ではあります。今後は、さらに既存車両におきましてもフルカラー車が生まれる事になるのかはわかりかねますが、その一方で幕式行先も減る事にもなる訳ですので、幕回しの楽しみも見られなくなるのもそう遠くないのかなとも思ってなりません。