今回の旅の意義について(国鉄時代のサービスを考える) | 旅一郎のブログ

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国鉄(日本国有鉄道)が、最後の全盛期を迎えた昭和47年ー53年までをテーマにした、汽車旅のブログです。

旧型客車亡き後、日本の鉄道旅行は本当につまらなくなりました。そのため海外ネタも載せています。

当時の雰囲気を伝えるものは鉄道にかかわらずアップします

今回の旅の意義について
X(Twitter)上で夜行列車、長距離列車について様々な意見が見られた。
それらが絶滅状態にある理由として
・LCC、高速バスなどより速くまたはより安くといった手段が増えたため利用者が減った
・ホテルが安くなったため新幹線で前日入りする方が楽
・生活スタイルの変化、労働環境の改善
などがあげられる。
しかし不思議なことに、これらの中に分割民営化を理由にする事が避けられているように思う。
 そもそも鉄道会社が直通列車の運転に積極的でない原因を突き詰めれば分割民営化にあると私は考える。
なぜなら鉄道会社がインフラ的使命を持ってそれらを運行したいと思っても「コストコントロール、収益向上」を究極の目的とする株式会社では株主の意向に逆らって利益を上げない商品(長距離夜行列車やローカル線)の存在意義を社内で説くことは難しい。また会社を跨ぐ列車は利害調整が難しいという二重の困難が付き纏う。
それにもかかわらず、近年までムーンライトながらが運転されていたことはその調整に尽力した人がいたからに他ならず、それには敬意を表してきた。

 分割民営化から30年以上経ち、JRを普通の株式会社とみなす人が増えるにつれ、国鉄時代を懐かしく思う(ノスタルジーというよりも利便性を懐かしんでいるのだけれども)ファンを攻撃する目的で経営者目線の主張をする人も多くなって来たのが残念だ。

 国鉄の最大の功績は「誰にでも等しいサービス」を提供してきたことであろう
LCCやビジネスホテルはダイナミックプライシングという名の価格変動があり、安く利用できる人は限られている。さらに利用できるのはカードを持てる年齢以上に限られ、我々世代がやっていたように中高生が自力で行うのは難しくなったことも不公平感の一つだろう。

急行「大雪」札幌駅。周遊券さえあれば本州からの移動、道内の宿代わりの夜行を利用して格安で旅ができた

昼行長距離列車の代表格、特別急行「おおとり」食堂車も連結しており風格があった

 18きっぷの改悪でとどめを刺されたように思うが、とりわけ中高生にとって周遊券と夜行列車の廃止は「自立した旅行」を不可能にしたといえる。夜行列車で夜明かししたり、前日入りして足を伸ばすという格安で旅する手段を奪われ、いくら安い18きっぷを使っても北海道、九州への旅行は少なくとも片道は飛行機は使わないと成り立たなくなり、必然的にトータルの旅費は高くなった。
 残念ながら日本は重要なインフラであった国鉄を捨て、民間に任せてしまった。しかし日本以外の多く国は国鉄、それも「国有」ではなく「国営」が多い。インフラたる鉄道とはどんなものか今でも見ることができる。
 かつて自由な旅をして来た人だけでなく、夜行列車や乗り換えなしに各地を結んだ直通列車の利用経験がない人もステレオタイプの「国鉄時代は酷かった」というのを鵜呑みにせず、夜行列車や乗り換えのない長距離列車の利便性を「体感」し、その上での意見を聞きたい

今でも多くの列車で食堂車が営業している中国

車内販売も充実しており、買い忘れがあっても困ることは無い。

 それが18きっぷ旅行と同程度の日数、費用でできる海外旅行を企画した理由だ。来週18きっぷを使った宮崎旅行を企画しているので是非それも参考にしてほしい
 私自身、日本の現状には絶望を覚えており、Xでの発信もネガティブなものが多かった。しかし中国で夜行列車に乗って楽しんでいる間はそんなこと忘れて「今」に集中できている自分に気づいた。

当たり前のように長距離客車列車が数多く運転されており客車同士の並びも普通に見られる

旧満州の牡丹江から香港手前の広州まで北から南までを走る長距離列車。こんな定期列車が数多く運転されている

 是非近場の海外で「普通に使える」夜行列車や長距離列車の体験をしてほしいと思う