JR各社を除く日本の鉄道会社の中で最大の路線網を持つ近畿日本鉄道(近鉄)などを傘下にもつ近鉄グループホールディングスは、去る3月25日に開催した取締役会で、「近鉄グループ長期ビジョン2035」と「近鉄グループ中期経営計画2028」の策定を決議ししたと発表しました。
「近鉄グループ長期ビジョン2035」は、10年後の2035年に向けて近鉄グループが取り組む重点戦略をまとめたもの、「近鉄グループ中期経営計画2028」は、2025年度から2028年度までを期間とする計画です。
この中で近鉄の鉄道事業に関するものとしては、大阪~名古屋間の特急増発や最終電車の繰り下げによるサービス強化、大阪・関西万博への対応、デジタルきっぷやタッチ決済乗車サービスなどデジタル技術を活用したサービスの拡充、交流人口の拡大や定住人口の維持拡大に向けた取り組みの展開、沿線街からの旅客誘客の拡大などを掲げています。
また「コンセプトやテーマ性の高い列車」として、以前にも構想が発表されたことがある、架線終電方式の近鉄各線と第三軌条終電方式の大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線のいずれも走行できる車両による夢洲への直通列車や新型観光列車などの導入を検討することにより、新たな魅力発進と近鉄ファンの創出を図るとしていますが、私が個人的に「おっ!」と思ったのが、それらとともに挙げられていた「ビスタカーの更新」という一言。
「ビスタカー」といえば、1958年に初代となる10000系が登場して以来70年弱にわたり運行が続いている近鉄特急伝統の2階建て車両を連結した特急車両で、現在は1978年に登場した3代目ビスタカー30000系が「ビスタEX」への愛称変更と2度のリニューアルを経て伝統を受け継いでいます。
2階建て車両といえば、現在でこそJR東日本首都圏の普通列車グリーン車が身近な存在になって「特別感」は薄れ、また「アーバンライナー」登場以来「火の鳥」「しまかぜ」などそれぞれに際立った特徴を持つ特急用車両が続々と登場する中で、30000系の直接の後継となる新型「ビスタカー」がなかなか登場しないこともあって、近鉄特急におけるビスタカーの存在感は相対的にかなり小さくなってしまっている感がありました。
ただ、幼い頃の電車の絵本やその後読むようになった鉄道の本などで近鉄ビスタカーの存在を知った私としては、これだけ様々なタイプの車両が存在する現在でもやはり近鉄特急といえばビスタカーのイメージは強いものがあり、それは近鉄沿線に住む人や近鉄で働く方々にも言えることなのかもしれません。
今回、今後の検討事項としてビスタカーの更新が取り上げられているのも、近鉄特急にとってビスタカーは特別な存在であり、この伝統を令和の時代に受け継ぐ新型車両を導入することにより新たな魅力を引き出そうという近鉄の意気込みを感じます。
現時点ではただ「更新を検討」とされているだけで新型車両導入が決定したわけでもなく、もちろんどんな車両になりそうかといったことも全く不明ですが、子供の頃一度ビスタカーに乗ってみたいとずっと思っていた私としては、ぜひ半世紀ぶりの4代目ビスタカー登場に期待したいですし、もし登場したならぜひ乗りに行きたいものです。
4 Re:無題
>北ポさん
人手不足や利用客減は大手私鉄も例外ではありませんが、そういう時代だからこそ夢洲への直通特急や新ビスタカーなど、新技術やぜひとも乗りたくなる特急車両など、未来に向けて夢のある計画の話を聞くとうれしくなりますし、今後の動きが楽しみになりますね。
ぜひどちらも実現してほしいです。