『グリーンマックス創業50周年記念誌』を読む | 書斎の汽車・電車

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 『グリーンマックス創業50周年記念誌』が刊行されました。その内容を取り急ぎご紹介します。

 

 最近珍しい函入りの豪華本です。

 裏返すと、「0217」というシリアルナンバーがあります。往年の検査済みシールを模しているみたいですね。

 

 函の中身、表紙はこんな具合です。これまた往年のEシリーズキットの箱を模しているようです。

 

 そして横長の版型というのも、往年のカタログの再来みたいですね。

 

 外側の話ばかりしていないで、内容にも触れましょう。第1章から第5章までは「グリーンマックスの半世紀」と題して、各年代毎の歴史を振り返っています。特に第1章(1970年代)の創業期のお話は、当時を知る鈴木幹雄氏(創業者・鈴木雅夫氏の従兄弟で、のちに模型メーカー「ピットロード」を立ち上げた方)の回想談が興味深かったですね。グリーンマックスの話だけでなく、幹雄氏の長兄にして名レーサーだった鈴木誠一氏をめぐる話には、星野、長谷見、高原といった、日本のカーレース界のレジェンドの名前も出てきまして、そちら方面のファンの方にも興味深いでしょうね。また、ピットロードの「スカイウェーブシリーズ」も元々はグリーンマックスから発売されていました。その黎明期のエピソードは、ミリタリー系のモデラーの皆さんの居意味を惹くでしょうね。

 もちろん、鉄道模型についても、初期の客車キット、「グリ完」といわれた電車の完成品、旧型国電に始まる電車キット、日本型ストラクチャーキットなど、後のグリーンマックスを特徴づけるラインナップは、すでに創業期に揃っていたことがわかります。そして、あの伝説のレイアウト「須津谷急行電鉄」も紹介されています。

 

 第2章は1980年代、「カスタム電車シリーズ」「エコノミーキット」「バリエーションキット」といった電車キットの数々はなつかしいですし、今なお現役の製品がほとんどですよね。また、この章では「鉄道カラ-」の話や懐かしい各店舗の紹介、歴代のカタログの表紙などなども登場します。また、ストラクチャー「日本の民家シリーズ」と小林信夫氏の関わりもよくわかります。「辰野式建築風ストラクチャー」、今からでも製品化してくれませんかねぇ。

 

 こんな調子で続けているとキリがありません。1990年代以降も、板状塗装済みキット、一体ボディ塗装済みキットなど、グリーンマックス製品は進化していきます。また、ショップ限定の「クロスポイント」ブランドが登場しました。そして、2000年代以降は、グリーンマックスといえば「完成品」という時代が到来します。本書にはもちろんそのあたりも紹介されてはいるのですが、完成品の紹介はキットに比べると少し弱いかなという印象があります。やはり「創る楽しみいっぱい」のグリーンマックスですから、完成品はどうしても二の次になってしまうのでしょうか。現在のグリーンマックスは、電車を中心とした完成品メーカーとして、Nゲージ界ではなくてはならない存在となっていることは申し添えておきます。(本書へのただ一つの不満は、歴代製品リストが載っていなかったことなのですが、あれだけ多種多様な完成品が毎月リリースされていますと、最早難しいのかもしれませんね)

 

 第6章は「寄稿」ということで、牛久保孝一、嶽部昌治、町田信雄、江頭剛、Eキットマン各氏の文章が載っているのですが、いずれも単なるご祝儀的な文章ではなく、充実した内容となっております。最後の第7章は「小林信夫氏とグリーンマックス」、小林氏と親交の深かった前川健氏の回想談から、小林氏の人となりを知ることができますし、小林氏の「原画」もたっぷり収録されています。

 

 本書は、主にキットメーカーとしてのグリーンマックスの歩みに力点を置いた本です。私のように「グリーンマックスといえばキット」というモデラーなら必携の1冊ではないかと思います。そして50周年の今年中に、「仕掛中のあのキット」を完成させなくてはと改めて誓った次第です。

 本書の中身をちょっとだけご紹介。Eシリーズキット(東武8000系)の箱を原寸大で復刻したページです。